小学校5年生で特許を取得し、翌年には自身の会社『株式会社マイヤリングス』を設立した、現在中学3年生の水野舞さん。耳につけない新しい形のイヤリング「マイヤリング®」は、水野さん自身の幼少期の闘病生活が制作背景に深く関わっています。この革新的なアクセサリーは、サッカーJ1の名古屋グランパスやオタフクソースといった有名企業とのコラボレーションも実現し、大きな注目を集めています。特許取得に至るまでのプロセス、学生と社長を両立する多忙な日々、そして入院中の子どもたちへの社会貢献活動など、若き起業家・水野舞さんの素顔に迫ります。
マイヤリング発明者、中学3年生の起業家・水野舞さんの写真
マイヤリング誕生のきっかけ:幼少期の闘病とものづくり
水野さんの発明は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか。幼少期の経験がアイデアの源泉となっています。
――水野さんは、小学5年生のときに「耳につけないイヤリング」を発明し、翌年には特許も取得されました。現在では、サッカーJ1の名古屋グランパスや、オタフクソース(広島)とのコラボも話題ですが、そもそも、どんなきっかけで生まれたアイデアだったのでしょうか?
水野舞(以下、同) 私は先天性胆道閉鎖症という病気で、生まれてから4歳頃まで入退院を繰り返していました。病院のベッドの上でできることは限られていて、毎日が退屈で……。そんなある日、同じ病棟の少し年上の子がマスキングテープで何かを作っていたんです。それを見て「楽しそう!」と思って、私も工作にハマりました。そこから物づくりが大好きになったんです。ピアスやイヤリングに興味を持ったのは、ちょうどその頃。「お母さんとおそろいのピアスをつけてみたい」と思ったのですが、当時の私にはピアスの穴を開けるのは怖いし、イヤリングは痛くてつけられなかった。それなら、「自分につけられるアクセサリーを作っちゃおう!」と、小学2年生のときに思い立ったのが始まりです。
「今すぐ」の思いが生んだ「耳につけない」発想
「かわいいけど痛い」「おしゃれしたいのにできない」という子どもならではの小さな不満や願望が、革新的な発想につながりました。水野さんの諦めない気持ちが、マイヤリングを生み出したと言えます。
――「かわいいけど痛い」「おしゃれしたいのにできない」という、小さな“もどかしさ”を解決しようとする発想力がすごいですね。そうした「気づける力」はどこで育ったのでしょう?
気づくというより……私、けっこう“我慢ができないタイプ”なんです(笑)。「大人になったらオシャレできるよ」と言われても、8歳の私にとっての“大人”はあまりにも遠すぎて。「今すぐやりたい!」って気持ちを抑えきれなくて、家にあったビーズやヘアピンを組み合わせて、自分の髪に留めて“イヤリング風”にしてみたんです。耳に直接つけなくても、おしゃれが楽しめる方法を見つけたときは、本当に嬉しかったです。それが「マイヤリング®」の原点になりました。
特許取得、会社設立、周囲の後押しとビジネス展開
アイデアを「発明」として認識し、特許取得、そして会社設立へと進んだ背景には、周囲の大人たちの存在が大きく影響しています。その後のビジネス展開も順調に進んでいます。
――特許取得や会社設立という決断には、ご家族や周囲の影響もあったと思います。どんな環境が後押しになったのでしょうか?
小学4年生のとき、父の知り合いの弁理士さんと話す機会があって、その方に「このアイデア(マイヤリング®)、すごくいいんじゃない?」と声をかけてもらったんです。自分の発想が大人に認められたのがすごく嬉しくて、「特許ってなんだろう?」って興味を持つようになりました。もちろん、最初は何も分かっていませんでした。でも、その弁理士さんが“特許とは何か”を、まったくの初心者でも分かるように一つひとつ教えてくれて、そこから特許を取得するための準備を始めました。たまたま父が研究職だったこともあって、特許や起業といった話を自然と聞ける環境にいたのが私にとっては大きな要因でした。工作だと思っていた自分のアイデアが、「これはちゃんとした“発明”なんだ」と気づけたのは、そういう大人たちが周りにいてくれたおかげだと思っています。会社設立後、マイヤリング®は約2年間で売上800万円を達成するなど、ビジネスとしても順調に成長しており、名古屋グランパスやオタフクソースとのコラボレーションも実現しています。
約2年で800万円以上を売り上げた、耳につけないアクセサリー「マイヤリング®」の商品画像
まとめ
水野舞さんのストーリーは、幼い頃の困難な経験が、自身の「好き」や「不満」を原動力とした創造力と結びつき、周囲の理解とサポートを得ることで、類稀なる成果へと繋がったことを示しています。闘病中に感じた退屈や、おしゃれをしたいという純粋な願いから生まれた「マイヤリング」の発明は、特許取得や会社設立という具体的な形になり、多くの人々に夢や希望を与えています。今後も水野さんが、自身の経験を活かし、特に病気と闘う子どもたちへの支援といった社会貢献活動を通じて、どのように活躍していくのか注目されます。
参照元
https://news.yahoo.co.jp/articles/ebe59214a11049a29a1140daebd9f09704de2953