立憲民主党、蓮舫氏を参院比例に擁立:党内「異論」と支援団体の懸念

立憲民主党は、来たる7月の参院選比例代表に前職の蓮舫氏を擁立することを決定した。早期から擁立論は浮上していたものの、党内には慎重な意見も根強く、その決定は7月3日の公示直前という異例のタイミングにずれ込んだ。野田佳彦代表をはじめとする執行部が、こうした党内の異論を押し切る形で進めたため、主要な支援団体である連合や、参院側の議員からは不満の声がくすぶっている。

決定の背景と党内・支援団体の反発

蓮舫氏の公認を決定した6月24日の党常任幹事会後、小川淳也幹事長は記者会見で「『批判を受ける』という立場から慎重意見はあった」と述べ、党内に反対意見が存在したことを認めた。連合や参院側が抱える不満は主に二点に集約される。

一つ目は、比例代表候補として既に擁立されている、連合傘下の各産業別労働組合(産別)が推薦する6人の組織内候補への影響に関する懸念だ。知名度が非常に高い蓮舫氏に比例票が集中することで、組織内候補が得票を伸ばせず落選してしまうのではないか、という危機感が産別関係者の間で広がっている。組織内候補の一人である参院議員は、蓮舫氏の擁立決定に対して「理解に苦しむ」と公然と批判している。

二つ目は、蓮舫氏自身の過去の発言との整合性に対する疑問視だ。蓮舫氏は昨年の東京都知事選で落選した後、SNS上で「国政選挙はもう考えていない」と明確に表明していた。あるベテラン議員は「一度は国政から身を引く意向を示した人物が、簡単に『出戻り』を許されるのか」と、その方針転換に対する不満をあらわにしている。

立憲民主党の蓮舫氏が都知事選で街頭演説を行う様子、応援に駆け付けた野田佳彦元首相と共に。立憲民主党の蓮舫氏が都知事選で街頭演説を行う様子、応援に駆け付けた野田佳彦元首相と共に。

蓮舫氏擁立の効果を巡る見解の相違

蓮舫氏の擁立が実際の選挙結果にどう影響するかについても、立憲民主党内では見方が分かれている。直近の6月22日に投開票が行われた都議選では、蓮舫氏は積極的に立憲民主党候補の応援に駆け付けた。その結果、立憲民主党は議席を上積みしており、都連幹部からは「蓮舫氏の貢献があった」と分析する声も聞かれる。

一方で、党関係者の中には、インターネット上の反応に着目し、「蓮舫氏に対する好意的なSNSの反応が以前より減っている」と指摘する声もある。これは、彼女の持つ集票力に陰りが見え始めている可能性を示唆するものとして懸念されている。また、過去に国民民主党が元衆院議員の山尾志桜里氏の参院選擁立を巡って党内が混乱した事例を引き合いに出し、ある中堅議員は「我々も『二の舞い』になりかねない」と、今回の蓮舫氏擁立が党内の更なる混乱を招くことへの懸念を示している。

野田代表と蓮舫氏の関係、今後の影響

蓮舫氏は過去、参院議員時代に野田佳彦代表の党内グループに所属していた経緯がある。そのため、今回の擁立決定が野田代表の個人的な判断や身内びいきに見える側面があるとの指摘も党内には存在する。野田氏周辺からは「もし組織内候補が落選するような事態になれば、それは野田代表自身の責任問題に発展しかねない」との不安の声が漏れており、蓮舫氏擁立を巡る党内の軋轢は、夏の参院選に向けてさらなる波紋を広げている。