タイの首都バンコクでは28日、数千人規模の大規模デモが開催され、ペートンタン首相の辞任を求める声が高まった。この抗議活動は、カンボジアとの国境紛争への対応や、流出した電話会談の音声が引き金となっている。
抗議活動の規模と要求
28日にバンコクで行われた集会には数千人が参加し、2023年以降で最大規模となった。デモのリーダーは「問題はペートンタン氏そのものであり、彼は辞任すべきだ」と強く訴えた。
辞任要求の背景にある疑惑
ペートンタン首相に対する退陣圧力は、主に2つの要因からきている。一つは5月に発生したカンボジアとの国境地帯での紛争への対応だ。
もう一つは、今月中旬に流出したカンボジアの元指導者フン・セン氏との電話会談の音声である。この音声の中で、首相がフン・セン氏に対してへりくだった態度を取り、さらにはタイ軍の幹部を批判するかのような発言をしたと受け止められたことが、国民の反発を招いている。
デモ参加者の行動と声
集会参加者たちは、バンコク市内の戦勝記念塔周辺の交差点を封鎖し、「出ていけ、ペートンタン!」などと叫びながらタイの国旗を掲げた。
バンコクでタイ首相の辞任を求め行われた大規模デモの様子、戦勝記念塔近くの交差点で国旗を掲げる参加者たち
参加者の一人である73歳の男性は、首相による軍司令官への言及や、フン・セン氏への配慮が行き過ぎているような態度は断じて容認できないと語り、怒りをあらわにした。
今後の展望
今回の大規模デモは、ペートンタン首相の指導力に対する不信感と、特に外交・安全保障分野での対応への懸念が背景にあることを示している。首相への辞任要求は今後さらに強まる可能性があり、タイの政治情勢は緊迫の度を増している。