トランプ第二次政権の半年:公約実現と「トランプ党」化の実態

米国の第2次トランプ政権が今年1月に発足して以来、20日で半年を迎えた。上下両院で共和党が過半数を占める強固な権力基盤を背景に、トランプ大統領は選挙公約を次々と実現させている。その一方で、外交面での評価は依然として分かれており、来年に控える中間選挙に向けては、いくつかの不安要素も指摘され始めている。本稿では、トランプ政権のこの半年間の主要な成果と、その影響について詳細に分析する。

「公約実現」に邁進するトランプ政権

トランプ大統領は7月18日、ホワイトハウスに招いた上院の共和党議員との夕食会で、「我々は約束したより多くの約束を果たした。実際には『はるかに多くの約束』を果たしたと思う」と自身の政権運営を強く自賛した。その中でも主要な実績として挙げられたのが、今月署名され成立した大規模減税の恒久化を柱とする法案だ。この法案には、飲食店従業員が受け取るチップや残業手当の税額控除など、2期目の国内政策に関する公約の大部分が盛り込まれている。

ホワイトハウスで共和党上院議員との夕食会にて演説するトランプ大統領ホワイトハウスで共和党上院議員との夕食会にて演説するトランプ大統領

トランプ氏の政権運営において特に際立つのは、「公約最優先」とも呼べるその姿勢である。大統領選で有権者の不安を巧みに捉えた不法移民対策は、その典型例と言えるだろう。政府が保有する個人情報を用いて不法移民の居場所を特定し、法執行機関が次々と身柄を拘束している。さらに、殺人などの重罪を犯した不法移民については、アフリカなどの第三国へと強制送還する措置が取られている。

厳格な移民政策と国境管理の成果

政権発足後、米国の南西部国境における不法越境者の数は、月間約1万人前後にとどまっており、月間30万人を超えることもあったバイデン前政権時代と比較して劇的に減少している。この厳格な移民政策は、トランプ大統領の再選を支えた強固な支持層である「MAGA」(「米国を再び偉大に」の略)から熱烈な喝采を浴びている。これは、トランプ氏が選挙公約をどれほど重視し、実行に移しているかを示す明確な証拠となっている。

共和党の「トランプ党」化と立法優勢

与党である共和党の「トランプ党」化も、この半年間で一段と顕著になった。昨年の中間選挙で共和党が上下両院の過半数を獲得して以来、政権が提出する法案は驚くべき速さで議会を通過している。党内の一握りの反対意見も、トランプ氏の巧みな説得や時には強硬な手段によって抑え込まれており、米FOXニュースが「連戦連勝」と報じるように、政権は立法面で圧倒的な優位性を保っている。この盤石な足元は、トランプ大統領が今後も自身の政策を強力に推進していくための基盤となる。

「相互関税」導入と財政への影響

国際社会を翻弄し続けるトランプ政権の関税交渉は、一定の具体的な成果を上げている。今年4月に導入された「相互関税」と称する一律10%の関税や、特定の品目に課される追加関税により、米国の関税収入は急増している。特に6月には266億ドル(約3兆9000億円)に達し、これは例年の約4倍という驚異的な数字である。この傾向が続けば、関税収入は法人税に次ぐ「第2の国庫財源」となると予想されており、米国の財政状況に大きな影響を与える可能性を秘めている。

結論

第2次トランプ政権の最初の半年間は、公約の迅速な実現と共和党内の「トランプ党」化を背景とした強力な国内基盤が特徴であった。大規模減税の恒久化や厳格な不法移民対策、そして大幅な関税収入の増加は、支持層に強いアピールとなっており、政権の推進力を示している。しかし、外交政策における評価の分断や、来年の中間選挙に向けた不安要素も同時に存在しており、今後のトランプ政権の動向は、国内政治のみならず国際情勢にも引き続き大きな影響を与え続けるだろう。


参照元:
Yahoo!ニュース: 米国の第2次トランプ政権が半年…「公約次々実現」と自賛、中間選挙に向け不安も