聖闘士星矢:40周年を迎えるシリーズの現在、広がる世界と注目の派生作品

1980年代後半、漫画・アニメで大ヒットした車田正美氏の『聖闘士星矢』。連載完結から数十年経った今もなお人気は衰えず、多くのファンを魅了します。この不朽の名作は、原作者による正統続編から斬新な派生作品まで、活発な新展開が進行中です。本稿では、連載開始40周年を目前に控えた『聖闘士星矢』の「現在地」と、注目の派生作品の魅力に迫ります。

原作者が描く正統なる系譜と新たな展開

車田正美氏自身が手掛ける正統続編『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』は、長年不定期連載されてきました。2006年から2024年にかけ「週刊少年チャンピオン」でフルカラー掲載され、本編へと繋がる過去の冥王神話を描き、シリーズの歴史に深みを加えています。

車田正美による正統続編『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』のコミックス第1巻表紙。ペガサス星矢やアテナが描かれ、連載40周年を迎える聖闘士星矢シリーズの継続を象徴する一枚。車田正美による正統続編『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』のコミックス第1巻表紙。ペガサス星矢やアテナが描かれ、連載40周年を迎える聖闘士星矢シリーズの継続を象徴する一枚。

さらに、『NEXT DIMENSION』の続編として、現在『聖闘士星矢THEN廃墟の花』が連載中。これは物語が未完であることを示唆し、原作者による壮大な叙事詩の継続を期待させます。車田正美氏の手による本編の系譜は、ファンにとって常に最大の注目点です。

現代的視点で広がる聖闘士星矢ワールド:注目の派生作品

本伝に注目が集まる一方で、他のクリエイターによる派生作品も聖闘士星矢ユニバースの多様性を豊かにします。中でも異彩を放ち、現代的アプローチでファンを惹きつけているのが、「チャンピオンRED」で2021年から連載中の『聖闘士星矢 冥王異伝 ダークウィング』(脚本:サイトウケンジ、作画:上田信舟)です。

本作最大の特徴は、聖闘士星矢の世界観に「高校生の異世界転生もの」という現代人気ジャンルを融合させている点。主人公サイドが原典で敵役の「冥王ハーデス」配下の「冥闘士(スペクター)」であるのも画期的です。主人公「時任翔一郎」は「天猛星ワイバーン」の冥闘士として転生し、双子の弟「時任惣次郎」が「双子座(ジェミニ)」の黄金聖闘士であるという宿命的対立を軸に展開します。

この世界のハーデスは地上の支配を望まず、聖闘士と冥闘士間で大規模な戦闘は発生しません。むしろ、第三の共通の敵に対し協力関係を築くユニークな展開です。物語の舞台も私立グラード国際大学付属高校が中心で、学園生活や日常の描写が多いのも特異点。また、女性闘士が多く登場し、原典とは性別の異なるキャラクターが複数存在する点も、現代読者層に合わせた挑戦と言えるでしょう。これらが聖闘士星矢ブランドに新たな魅力を加えています。

『聖闘士星矢』は、単なる過去のヒット作に留まらず、原作者による正統続編の継続、そして多様な才能を持つクリエイターによる革新的な派生作品の登場によって、今なお力強い進化を続けています。これらの作品群は、長年のファンだけでなく、新たな視点でシリーズに触れる人々にも新鮮な驚きと感動を提供し、その不朽の魅力を再確認させます。連載開始40周年を迎え、ますます期待が高まる『聖闘士星矢』ユニバースの今後の展開に注目です。

Source link