オーストラリア、パレスチナ国家承認へ:加速する国際社会の動きと日本の立場

オーストラリアのアルバニージー首相は11日、9月の国連総会でパレスチナを国家として承認する方針を表明しました。ガザ紛争と人道危機が続く中、「二国家解決こそが、ガザの苦しみと飢餓を終わらせる人類最大の希望だ」と強調。国際社会におけるパレスチナ国家承認への動きが加速していることを示唆しています。

オーストラリアの「二国家解決」への強い意志

アルバニージー首相は、パレスチナ国家承認の発表に先立ち、日本、英国、フランス、ニュージーランドを含む各国首脳と協議。7日にはイスラエルのネタニヤフ首相とも電話で協議し、ガザ地区の惨状を「世界最悪を超えている」と指摘、軍事ではなく政治的解決を強く訴えました。オーストラリア政府のこの姿勢は、ガザ状況改善と平和確立への国際協調を求めるものです。
オーストラリアのアルバニージー首相とウォン外相が記者会見でパレスチナ国家承認の方針について発言している様子。オーストラリアのアルバニージー首相とウォン外相が記者会見でパレスチナ国家承認の方針について発言している様子。

ニュージーランドも承認検討へ

一方、ニュージーランドのピーターズ外相も同日、パレスチナ国家の承認を検討していると表明しました。国連総会が開催される9月までに具体的な対応を示す方針です。ピーターズ外相は「承認は『いつするか』だけの問題だ」と明言しており、ガザでの人道危機深刻化を受け、承認の動きが加速している現状を反映しています。

国際社会の動き:主要国の姿勢変化とガザ危機

豪メディアによると、国連加盟193カ国のうち147カ国が既にパレスチナを国家承認済みです。これまで主要国や日本はイスラエルとの和平協議への影響を懸念し慎重でした。しかし、イスラエルによるガザ侵攻継続と飢餓深刻化により、未承認国の議会や世論からの承認要求が強まっています。フランスは7月、G7で初めて承認方針を表明。英国やカナダも条件付きで承認意向を示しました。オーストラリア国内でもガザ人道危機への懸念が高まり、シドニーでの大規模抗議デモが国家承認への世論の圧力を強めています。

こうした一連の動きは、ガザ人道危機が国際外交に転換点をもたらします。これまで慎重だった主要国が承認検討する背景には、和平交渉停滞とこれ以上の犠牲を防ぎたい国際社会の切迫した思いがあります。日本政府も「平和の進展を後押しする観点から、承認の適切な時期やあり方も含め、総合的に検討している」との立場であり、今後の動向が注目されます。パレスチナ国家の承認は、国際社会が「二国家解決」という希望に向け具体的な一歩を踏み出す重要なシグナルとなるでしょう。

参考文献