イタリア北部ボルツァーノ市のサン・マウリツィオ病院で、生後間もない早産児2人が相次いで死亡する痛ましい事態が発生しました。この背景には、食器用洗剤が原因とみられる細菌汚染の可能性が浮上しており、当局は現在、刑事事件として詳細な捜査を開始しています。
「セラチア・マルセッセンス菌」感染の詳細
死亡したのは今月12日と13日で、いずれも生後3週間の新生児でした。妊娠23週と27週で誕生した早産児で、体重は共に約700グラムと極めて低体重でした。診断の結果、2人からは「セラチア・マルセッセンス菌」による感染が確認されました。この菌は水や土壌、植物、動物など自然界に広く存在する一般的な微生物であり、通常、健康な人には大きな害をもたらすことは少ないとされています。しかし、免疫システムが未熟な早産児にとっては、敗血症などを引き起こし、時に命にかかわる致命的な感染症となる恐れがあります。
イタリアの病院新生児集中治療室(NICU)で死亡した早産児、医療過誤の疑いで捜査
汚染源の特定と病院の緊急対応
南チロル保健局の調査によれば、今回の感染は病院で使用されていた業務用の食器用洗剤に関連している可能性が指摘されています。問題の洗剤は既に回収され、さらなる汚染拡大の防止措置が取られました。
病院は、一連の事件を受けて、調査が完了するまでの間、ハイリスクの早産児の新たな受け入れを一時停止する決定を下しました。また、死亡した新生児と同じ病棟に入院していた他の10人の乳児は、念のため別の病棟に移され、厳重な経過観察が行われています。
ピエルパオロ・ベルトリ病院長は、2人の新生児がいずれも症状を示し始めた時点で感染が確認された後、敗血症を発症して死亡したと明らかにしました。同病院長は、「菌の存在は特異なものではなく、新生児集中治療室(NICU)には常にリスクをもたらしています。細菌の種類そのものよりも、免疫システムが未熟な患者たちが特に脆弱なため、細心の注意が必要なのです」と、早産児のケアにおける脆弱性を強調しました。
イタリア当局による捜査の現状
今回の事件については、イタリアの軍警察であるカラビニエリが詳細な捜査を進めています。ボルツァーノ検察当局は、医療過誤や過失致死の容疑が正当かどうかを判断するため、死亡した新生児たちの検視を行うかどうか、今後決定する予定です。
この悲劇的な事件は、医療現場における感染管理の重要性、特に免疫機能が未熟な患者に対する安全性確保の課題を改めて浮き彫りにしています。当局の徹底した捜査と原因究明が待たれます。
出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/8854b111021098f817f2415909453c14abc86a05