建築費高騰で都内マンションが手の届かない存在に:新築供給も減少傾向

最近、日本の不動産・マンション業界では「建築コストの急激な高騰」が喫緊の課題として頻繁に議論されています。マンション建設にかかる費用がかつてない速度で上昇しており、これが新築マンション価格に大きな影響を与えています。

建築費高騰の深刻化と背景

現在のマンション建設費用は、1戸あたり3000万円が目安とされますが、専門家からは「4000万円でも難しいかもしれない」という声も聞かれ、その上昇は止まる気配がありません。この建築費高騰の主な原因は、建設現場における深刻な人手不足です。必要な各種職工の確保が困難であり、多くの現場では外国人労働者が半数以上を占める状況も珍しくありません。この人手不足の根本には、日本全体の人口減少問題が横たわっており、今後状況が改善する見込みは薄く、建築コストはさらに上昇すると予測されています。

高騰する建築費により手の届かなくなる都内マンション高騰する建築費により手の届かなくなる都内マンション

新築マンション価格への影響と購買層の現状

建築コストの上昇は、当然ながら新築マンションの販売価格に直接反映されます。仮に建築費だけで4000万円かかる場合、土地代を考慮せずとも販売価格が5000万円を下回ることはまずなく、実際には7000万円から8000万円が最低ラインになると考えられます。現在、東京23区の周辺部でさえ、70平米3LDKのマンションを7000万円で購入することは困難になりつつあります。この状況は、今後さらに23区内での購入を一層難しくするでしょう。一方で、首都圏や近畿圏の郊外では3000万円台後半の新築マンションも存在しますが、これらは通常、竣工から2年以上経過している物件であり、建築コストが発生したのは少なくとも3年以上前であることが示唆されます。

新築供給の減少と購買力の低下

建築コストの高騰は、マンションの供給側にも大きな影響を与えています。不動産経済研究所の公表資料によると、2024年上半期の首都圏における新築マンション供給は前年比11%強の減少となり、これは4年連続の現象です。しかし、価格は過去最高を更新し続けています。その一方で、日本の個人所得は過去10年以上ほとんど上がっておらず、物価、消費税、社会保険料の負担は上昇の一途を辿っています。これにより、一般家庭の可処分所得は減少し、家計は苦しくなっていると推測されます。さらに、わずかではありますが住宅ローンの金利も上昇しており、マンション購入の条件は徐々に厳しさを増しているのが現状です。

まとめ

建築費の高騰と人手不足に起因する新築マンション価格の上昇は、特に都心部において、多くの人々にとって手の届かない水準に達しつつあります。供給の減少と、伸び悩む個人所得、そして上昇する物価や金利が重なり、新築マンションの購入は今後一層困難なものとなるでしょう。

参考資料