近年、訪日観光客の増加が連日報じられ、日本への関心の高まりが伺えます。では、海外からの旅行者は日本のどのような点に魅力を感じ、どんなものを購入しているのでしょうか。本連載では、日本を訪れた外国人旅行者が「実際に購入したもの」を通して、その選択の背景や日本に対する嗜好を探ります。今回は、パリに住む国際カップルが日本旅行で手に入れた、ある「意外な宝物」に焦点を当てます。
先日、筆者は週末のパリ14区にある混み合うスーパーで、前のカップルのカバンに目を奪われました。そこには、なんと「ミャクミャク」のお守りがぶら下がっていたのです。彼らに声をかけると、「かわいいでしょう?大阪万博のキャラクターが大好きで、開幕前の日本で買ってきたんですよ」と、笑顔で答えてくれました。この出会いをきっかけに、日本での買い物について尋ねることにしました。
パリで出会った「ミャクミャク」と国際カップル
中国出身のユアンユアンさんとフランス出身のセドリックさんは、パリで暮らす国際カップルです。それぞれ会社員とエンジニアとして働きながら、今年の春に初めての日本旅行を実現しました。特にセドリックさんにとって、日本はアニメやゲームを通じて長年憧れていた国であり、それが今回の日本行きを決めた最大の理由だったと言います。4月後半に東京からスタートした彼らの旅は3週間に及び、最初の2週間で京都、大阪、河口湖、箱根、鎌倉といった多様な地域を巡り、最後の1週間は再び東京に戻り、じっくりと都市の魅力を満喫しました。
大阪・関西万博のキャラクター「ミャクミャク」のお守りを日本で購入したパリ在住の国際カップル
3週間の「日本縦断」旅程の裏側
彼らの旅程は、「日本の都会と田舎、その両方の風景を見たかった」という明確な目的を持って工夫されていました。飛行機の離発着地点である東京を起点に、日本をぐるりと一周するようなルートが組まれたのです。会社員でありながら3週間の長期旅行を可能にした背景には、フランスのバカンス文化があります。フランスでは年間5週間の年次休暇取得が義務付けられており、多くの人々がバカンスのためにお金を貯め、数年に一度はまとまった休みを海外旅行に費やすのが一般的です。この文化が、彼らの充実した日本旅行を支えていたと言えるでしょう。
日本の魅力と訪日客の購買意欲
ミャクミャクのお守りに代表されるように、訪日観光客の購買行動は、単なる伝統的なお土産だけでなく、日本のポップカルチャーやイベント関連商品にも広がっています。今回の国際カップルの例は、アニメやゲームといった日本の現代文化が、海外からの旅行者の訪問動機や購買意欲に深く影響を与えていることを示唆しています。また、都市と自然の両方を体験できる多様な観光資源と、長期休暇を取りやすい欧米の文化が融合することで、より深く日本の魅力を探索する機会が生まれていると言えるでしょう。今後も訪日客の購買動機や、日本で何に価値を見出しているのか、その実態に注目していきます。
参考文献: