東大生に大人気!コンサル業界が選ばれる「加速キャリア形成」の秘密

東京大学の卒業生の進路として、コンサルティング業界が近年、圧倒的な人気を博しています。2024年卒及び2027年卒の就職ランキングでも上位を独占しており、その背景には業界特有の「働き方」があると、大手コンサル出身者が指摘します。本稿では、なぜ東大生がコンサルを志望するのか、その理由を探ります。

「ディープダイブ」が拓くキャリア形成の効率化

「東大新聞オンライン」の集計によると、2024年卒の学部卒業者の民間企業就職先では、三菱商事が首位を獲得。アクセンチュアと三井物産が同率2位、EYストラテジー・アンド・コンサルティングとマッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサル大手2社が同率4位にランクインしました。さらに、院卒ではアクセンチュアが首位となっています。

就活サイト「ワンキャリア」が東京大学と京都大学の2027年3月卒業見込みの学生を対象に行った「就活人気企業ランキング」でも、トップ10のうち実に7社がコンサルティングファームを占めるなど、その人気ぶりが浮き彫りになっています。

「ここ数年でコンサルの門を叩く東大生が格段に増えた印象です」と語るのは、最近までシンクタンク系の大手コンサルティング会社に約30年間勤務していたA氏(50代)です。A氏は、会社の人事担当者から話を聞く中で、東大生がコンサル業界を選ぶ理由を深く理解したと言います。担当者によれば、学生たちは一つの事業を展開する企業で得られる経験よりも、コンサルティングファームで様々な企業の多様な案件をこなすことで得られる「経験」に大きな魅力を感じているとのことです。

2027年卒の東大・京大生に人気の就職先、コンサルティング企業が上位を占めるランキングのグラフ2027年卒の東大・京大生に人気の就職先、コンサルティング企業が上位を占めるランキングのグラフ

この現象には、コンサル業界独自の「働き方」が深く関わっています。A氏は具体例を挙げ、「例えば経済産業省の案件で、日本の得意分野を海外に売り込むプロジェクトに参加したとします。そのプロジェクト期間中、担当者はその業界の事情に徹底的に詳しくなります。これを『ディープダイブ』と呼ぶ者もいますが、コンサルの仕事では、様々な企業や省庁で何度もこの『ディープダイブ』を経験することになります」と説明します。これにより、「手っ取り早く『経験値』を積める」という点で、多くの東大生がコンサルティング業界に魅力を感じているのは納得できる、とA氏は述べます。

つまり、学生たちの間では、コンサルティングこそが「早く」「深く」「何度も」多様な経験を積める職業だと認識されているのです。A氏は、「そうして得られる『促成栽培』的な経験が、きっと将来の自分の強力な武器になると考えているのでしょう。これはある種の『ブーム』になっているのだと思います」と分析しています。コンサルティング業界が提供する、短期間で幅広い知見と実践経験を身につけられる環境が、優秀な東大生にとって理想的なキャリア形成の場として映っていると言えるでしょう。

まとめ

コンサルティング業界が東京大学の卒業生から圧倒的な支持を集めている背景には、多岐にわたる案件を通じて短期間で「ディープダイブ」を繰り返し、多様かつ深い経験を効率的に蓄積できるという、その独特な「働き方」があります。この「促成栽培」的なキャリア形成は、将来を見据える優秀な学生にとって、自身の市場価値を高める強力な武器となり、就職市場における一大ブームを形成していると考えられます。


参考文献: