20日に訪韓したゲイツ財団のビル・ゲイツ理事長は、サムスン電子、SKグループ、HD現代といった韓国を代表する財閥のトップと相次いで会談し、多岐にわたる分野での国際協力強化について議論しました。特に、小型モジュール原発(SMR)技術の開発・商用化、グローバルな企業の社会的責任(CSR)活動、そしてワクチン分野での協業拡大が主要な議題となりました。この一連の会談は、次世代技術と社会貢献における韓国企業の役割を世界に示唆するものです。
サムスン電子とのグローバルCSR協力深化
サムスン電子のイ・ジェヨン会長は22日、ソウル瑞草区のサムスン電子瑞草社屋でビル・ゲイツ理事長と昼食を共にしました。両氏は、グローバル企業としての社会的責任(CSR)を果たすための協力策について深く話し合いました。この会談は、世界的な課題解決に向けた企業間連携の重要性を改めて浮き彫りにしました。
サムスン電子イ・ジェヨン会長とゲイツ財団ビル・ゲイツ理事長がグローバルCSR協力について語り合う様子
HD現代、テラパワーとナトリウム原子炉商用化へ
ゲイツ理事長が2008年に設立し、取締役会議長を務める次世代SMR革新企業「テラパワー」の国内協力グループであるHD現代からは、チョン・ギソン首席副会長が同日にゲイツ理事長と会談しました。チョン首席副会長は、ゲイツ理事長およびテラパワーの経営陣と対面し、ナトリウム原子炉のサプライチェーン拡大と商用化の進行状況を確認し、今後の具体的な協力策について意見を交わしました。
ナトリウム原子炉は、液体ナトリウムを冷却材として用いる次世代型の原子炉です。業界では、高効率、廃棄物の削減、高い安全性、燃料リサイクルといった優れた特性を持つため、環境負荷の低い原子力発電モデルとして注目されています。この技術は、世界のエネルギー問題解決に貢献する可能性を秘めています。
HD現代チョン・ギソン首席副会長とテラパワーのビル・ゲイツ会長がSMR協力について会談する場面
SKグループ、SMR技術開発とワクチン協業を拡大
前日には、SKグループのチェ・テウォン会長がソウル鍾路区のソリンビルでゲイツ理事長と夕食会を行い、SKが主要株主の一つであるテラパワーのSMR技術開発および商用化に向けた戦略的協力策、そしてワクチン分野での協業拡大について協議しました。
SKグループのチェ・テウォン会長がゲイツ財団ビル・ゲイツ理事長と握手し協力関係を築く姿夕食の席でチェ会長は、「韓国とSKがテラパワーのSMR商用化において重要な役割を果たすと信じている」と述べ、「SMRの安全性、効率性、環境親和性を基盤に、市場受容性を高める努力を共に行っていきたい」と強調しました。これに対しゲイツ理事長は、「次世代SMRの迅速な実証と普及には、韓国政府による規制システムの確立とサプライチェーンの構築が極めて重要だ」と述べ、「これが実現すれば、SKとテラパワーは世界のSMR市場をリードできるだろう」と期待を示しました。
まとめ
ビル・ゲイツ理事長の今回の訪韓と韓国主要財閥トップとの一連の会談は、次世代エネルギー技術であるSMR、グローバルな企業の社会的責任、そして公衆衛生分野におけるワクチン協力といった世界的な重要課題に対し、韓国企業が果たすべき、そして果たしうる役割の大きさを改めて明確にしました。これらの協力は、持続可能な未来と人類の発展に向けた国際社会の取り組みを加速させるものとして注目されます。