ハン・ドクス前首相に拘束令状請求の動き:パク・チュミン議員が指摘する「決定的理由」

内乱首謀者ほう助の容疑がかけられているハン・ドクス前首相が、拘束されるかどうかの岐路に立たされています。政界からは、裁判所が拘束令状を発行するとの見方が強まっています。弁護士資格を持つ与党「共に民主党」のパク・チュミン議員は25日、自身のフェイスブックで、ハン前首相の拘束令状発行が避けられないとの見解を示しました。チョ・ウンソク特別検察官(特検)チームは前日、内乱首謀者ほう助、偽証、虚偽公文書作成および行使、公用書類損傷、大統領記録物法違反の計6つの容疑で、ハン前首相に対する拘束令状を請求しました。

拘束令状請求の背景と容疑

特別検察官チームによるハン・ドクス前首相への拘束令状請求は、深刻な容疑に基づくものです。主な容疑には、国家の秩序を揺るがす「内乱」の首謀者をほう助した罪が含まれています。これに加え、国会での証言や憲法裁判所の審判において虚偽の陳述を行った「偽証」の疑い、公的な文書を偽造し使用した罪、公用書類を故意に損傷した罪、そして大統領の記録物の管理に関する法規に違反した罪が挙げられています。これらの複合的な容疑が、ハン前首相を拘束の危機に追い込んでいる背景にあります。

パク・チュミン議員が主張する「決定的な拘束理由」

パク・チュミン議員は、ハン前首相の拘束が避けられない「決定的な理由」として、二つの重要な点を指摘しています。一つ目は、「事後作成された戒厳宣布文への署名と、その後の廃棄要求」です。これは、尹錫悦大統領(記事原文は「前大統領」と記載)がかつて発表したとされる、違憲・違法な非常戒厳の手続き上の瑕疵を隠蔽し、その適法性を確保しようと試みられた行為だとされています。この文書の存在と、それをめぐるハン前首相の行動が、今回の問題の核心にあるとパク議員は主張しています。

二つ目は、ハン前首相が国会での内乱に対する国政調査の聴聞会と憲法裁判所の弾劾審判において、「非常戒厳宣布文を認知していなかった」と偽証したことです。パク議員は、この偽証行為が、証拠隠滅を意図したものと見なされ、拘束理由に当たると補足しています。ハン前首相の一貫した主張が、証拠によって覆されたことで、彼の信頼性は大きく損なわれました。

特検チームの証拠とハン前首相の供述

チョ・ウンソク特検チームは、非常戒厳宣布当日における大統領室の防犯カメラ(CCTV)映像を綿密に分析しました。その過程で、大統領執務室から出て大接見室で待機していたハン前首相が、背広の内ポケットから「文書」を取り出す様子を映像として確保しました。この決定的な証拠により、特検チームはハン前首相のこれまでの主張に疑問を投げかけました。

さらに、特検による19日の事情聴取において、ハン前首相はそれまでの供述を一転させ、「戒厳当日、宣布文を受け取った」と自ら認めました。この供述の変更は、CCTV映像などの客観的証拠と矛盾しないため、彼の偽証の疑いを一層深める結果となりました。パク・チュミン議員は、これらの状況から「ハン・ドクス前代行は必ず拘束されなければならず、また、拘束されるのは避けられない」と述べ、証拠隠滅の恐れが明確に認められると強調しています。

政界からの批判と今後の展望

今回の拘束令状請求の動きを受け、政界からはハン前首相に対する厳しい批判の声が上がっています。特に、彼の大統領選挙出馬の経緯が改めて問題視されています。共に民主党は同日の論評で、「内乱の共犯者であるハン・ドクス氏は、前回の大統領選挙で突如として出馬を宣言し、前例のない候補交替まで試みた」と指摘しました。そして、「未遂に終わったものの、強引な候補交替の理由は今や明確になりつつある」とし、「国と国民のためではなく、ひたすら『内乱犯ハン・ドクス』の罪を免れるために、大韓民国の大統領の座を避難所にしようとしたもの」だと痛烈に批判しました。

民主党はさらに、「国政を安定させるという責務を放棄し、混乱と不安を生じさせた内乱犯容疑者が大統領候補として立とうとしたとは、その厚かましさと非道さにあきれるばかり」と述べ、国民を裏切り、国を混乱に陥れたハン・ドクス氏に対しては、「必ずや厳正な法の審判が下されなければならないだろう」と強い言葉で表明しています。今回の拘束令状請求が、今後の韓国政治にどのような影響を与えるか、その動向が注目されます。

参考文献