頑張りすぎで心をすり減らすあなたへ:精神科医が語る「心が楽になる」自己受容のヒント

日々の忙しさに追われ、知らず知らずのうちに心が疲弊していませんか。「しんどい」「もう限界かもしれない」と感じたとき、そっと手を差し伸べてくれるのが、心温まる一冊『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(クルベウ著・藤田麗子訳)です。この本は、自分のキャパシティを超えて頑張りすぎてしまう人々に対し、優しく語りかける言葉に満ちています。

今回は、現代社会で多くの人が抱える心の疲れうつ病といった精神的な健康に関する懸念に対し、精神科医さわ先生が「頑張りすぎて自分を追い詰めてしまうときに、心が楽になる考え方」について深く掘り下げて解説します。

精神科医さわ先生が心の健康、うつ病、自己肯定感について語る様子。精神科医さわ先生が心の健康、うつ病、自己肯定感について語る様子。

うつ病は誰にでも起こりうる、心からの「休んで」のサイン

「何をしても元気が出ず、憂うつな気分が続く。もしかしたらうつ病などの精神的な病かもしれない」と感じても、精神科や心療内科を受診することには高いハードルを感じる人が少なくありません。精神科医さわ先生は、まずこの心の病に対する誤解を解くことから始めます。

さわ先生は、「うつ病は誰にでも起こりうる病気だ」と強調します。実際、生涯で15人に1人が一度はうつ病を経験すると言われているのです。精神科医であるさわ先生自身も、「自分は絶対にうつ病にならない」とは考えていないと言います。この事実は、心の病が決して特別なことではなく、私たちの生活に密接に関わる身近な存在であることを示しています。

だからこそ、もしうつ病になった時には、「今までよく頑張ったね。今は少し休もう」と、自分自身に優しい言葉をかけてあげることが非常に重要です。うつ病は、心が発している「休みたい」という明確なサイン。そのサインをきちんと受け止め、心身を休ませることが、回復への第一歩となります。しかし、多くの人が「こんなことで心が折れるなんて、自分は心が弱いのでは」と自分を責めてしまいますが、さわ先生は「『こんなことでうつ病になるなんて情けない』とか、『自分には生きる価値がない』と感じてしまうこと自体が、実はうつ病の症状の一つでもある」と指摘し、自己否定のサイクルから抜け出すことの重要性を説いています。

「完璧じゃなくていい」自分を受け入れる勇気

心の健康を保つ上で、自己受容は不可欠な要素です。では、心の疲れを感じている時、私たちは自分自身とどのように向き合えば良いのでしょうか。さわ先生は、「まずは、自分の状態をちゃんと認めること。それには、実はすごく勇気がいる」と語ります。

さわ先生の患者さんの中にも、「うまくできない自分が許せない」「心が弱い自分はダメだ」と思い込んでいる人が少なくありません。しかし、本当は弱さを見せてもいいし、出していいものなのです。人は知らず知らずのうちに「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込んでしまいがちです。特に真面目な人ほど、自分を責めやすい傾向にあります。だからこそ、『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』の「うまくやろうとするから悩みが増える」「うまくやろうとするから後悔する」といった言葉が、多くの人々の共感を呼ぶのでしょう。

さわ先生は、自己肯定感の真の意味を再定義します。それは、できる自分を認めることだけではなく、「できなくてもそれが自分」と思えること。強さだけでなく、弱さも含めて、ありのままの自分を受け入れることが、心の健康を育む上で最も大切なことなのです。

感情を解放する「にんげんだもの」の真髄

弱い自分を認めること、それは自己肯定感を高める上で不可欠なステップです。さわ先生は、強さもあれば弱さもあり、苦しんだり揺れ動いたりするからこそ、私たちに人間らしさがあるのだと語ります。もし感情がなければ、私たちはロボットやAIと同じになってしまうでしょう。

詩人である相田みつを氏の「にんげんだもの」という言葉は、まさにその本質を見事に表しています。どんな感情を抱いても良いのです。泣いても、怒っても、様々な感情を持つことは人間として当然のこと。そうした感情の起伏こそが、私たちの人生を豊かにし、人間関係を深める源となるのです。

まとめ

私たちが頑張りすぎて心をすり減らしたとき、そのサインを見逃さず、自分自身に優しくなることの重要性を精神科医さわ先生は教えてくれました。うつ病は誰にでも起こりうる病気であり、自分を責める必要はありません。大切なのは、「うまくできない自分」も含め、ありのままの自分を自己受容し、どんな感情も受け入れる勇気を持つことです。心の健康は、完璧を目指すことではなく、人間らしい弱さを受け入れ、感情を解放することから始まります。今こそ、自分自身に「休んでいいよ」と語りかけ、心の声に耳を傾ける時です。

参考文献

  • クルベウ 著, 藤田麗子 訳『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』
  • ダイヤモンド社, 林えり (取材), 照宮遼子 (構成・文)「『自分は生きる意味がない』そう感じたら要注意!精神科医が教える『心がラクになる考え方』」- Yahoo!ニュース (オリジナル記事)