参議院議員の石井章氏(68)が9月1日、国から支払われる公設秘書の給与をだまし取った疑いで東京地検特捜部による捜査が進められていることを受け、議員辞職しました。この疑惑は、長年にわたる政治キャリアを持つ石井氏の過去の事業活動や意外な経歴にも光を当てることとなり、世間の注目を集めています。
公設秘書給与詐取疑惑の全容
石井氏に対する捜査は、茨城県取手市の地元事務所や自宅、さらには参議院議員会館の事務所にまで及んでいます。不正受給額は最低でも800万円に上るとみられており、石井氏周辺では公設秘書の名義貸しが常態化していた疑いが持たれています。この問題は、政治資金の透明性と公設秘書制度の悪用に関する深刻な問いを投げかけています。
公設秘書給与詐取疑惑で捜査を受け、議員辞職した石井章氏
30年以上の政治キャリアと“異色”の過去
石井氏は、地元の藤代町議など地方議員時代を含め、30年以上のキャリアを持つ叩き上げの政治家です。2009年に旧民主党から出馬して初当選を果たし、2016年の参院選ではおおさか維新の会(当時)から国政に返り咲きました。3年前の参院選でも再選を果たし、維新の馬場伸幸前代表からの信頼も厚かったとされています。しかし、石井氏には10代の頃に暴走族のリーダー格だったという異色の過去もあります。
疑惑の事業歴:太陽光発電から多角経営まで
政治家として頭角を現す過程で、石井氏は浪人時代の2014年に太陽光発電システムの会社「ジャパンソーラーパーク」(現在は清算済)を設立しました。当時、2012年に始まった再生可能エネルギーの固定買取制度を追い風に「ソーラー・バブル」が到来しており、石井氏もこの機会を逃さず市場に参入しました。同社の所在地は、現在「茨城維新の会 石井あきら事務所」の看板が立つ旧地元事務所の建物とされています。当時の私設秘書を務めた男性は「太陽光の事業は俺がやったんだよね。筑波山の斜面にソーラーパネルを設置して。3億円借りて作って、それ以上で売っ払った。だから赤字じゃないよ、利益は出た。あの人(石井氏)、お金儲けが大好きだから」と証言しています。
しかし、石井氏がこれまで手掛けてきたビジネスは太陽光だけではありません。「週刊文春 電子版」では、町議時代に親族や暴力団組員らが公職選挙法違反などで逮捕された事件、パン屋やラーメン屋などの飲食店ビジネス、家族で運営する介護サービス事業、さらには事務所で販売していた御守や御朱印など、多岐にわたる事業について詳しく報じています。
結び
今回の公設秘書給与詐取疑惑による議員辞職は、石井章氏の長年の政治キャリアに終止符を打つ形となりました。一連の疑惑と過去の事業活動の露呈は、政治家の倫理観と国民の信頼に対する重い課題を突きつけており、今後の捜査の進展が注目されます。
参考文献
- 週刊文春 電子版オリジナル記事 (https://bunshun.jp/articles/photo/81871)
- Yahoo!ニュース (https://news.yahoo.co.jp/articles/141686e64442852f319387609c92c1809a257eb1)