プロ野球・阪神タイガースの2年ぶりとなるリーグ優勝が目前に迫り、大阪の街は歓喜に包まれています。しかし、過去には優勝祝賀時に道頓堀川への飛び込みが相次ぎ、重大な事故が発生した経緯があります。このため、大阪府警は大規模な警備体制を敷き、雑踏事故の防止と危険行為の抑制に全力を挙げます。
警戒強化:戎橋周辺に重点配備
阪神がマジック1とし、7日午後6時からの甲子園球場での広島戦で優勝が決まる可能性があるため、大阪府警は試合開始時刻からミナミ地区に警察官を重点的に配置します。JR大阪駅などにも警察官が投入され、特に混雑が予想される戎橋(えびすばし)周辺では、最大1000人規模の警備態勢を敷き、雑踏事故への警戒を強化します。
混雑状況に応じて、戎橋内部では以下の3段階で通行規制が実施される予定です。
- 左側通行
- 南から北方向への一方通行
- 通行止め
また、周辺には「DJポリス」を最大5カ所に配置し、効果的な人の移動誘導を行います。ビルの屋上などの高所からも、時間と共に変化する人々の滞留状況を監視し、状況に応じた迅速な対応を可能にします。戎橋周辺はグリコの看板で国際的に知られ、外国人観光客も多いため、周辺商店街のスピーカーを通じて英語、中国語、韓国語、ベトナム語で「立ち止まらないで」などの注意喚起アナウンスを行う計画です。
阪神タイガース優勝祝賀ムードの戎橋で雑踏事故防止のため警備を行う大阪府警
「祝賀ダイブ」対策と過去の事例
道頓堀川への「祝賀ダイブ」対策として、戎橋の両側スロープや、橋の下を流れる道頓堀川沿いの遊歩道への立ち入りが規制されます。さらに、道頓堀橋の東側には幕を張り、戎橋に向けた飛び込みを扇動する行為や、通行者が滞留するのを防ぐ措置が取られます。
過去には、2003年のリーグ優勝時に約5300人が道頓堀川に飛び込み、そのうち1人が死亡するという痛ましい事故が発生しました。近年では、2023年のセ・リーグ優勝、クライマックスシリーズ優勝、日本シリーズ優勝の計3回の祝賀行事で延べ65人が飛び込んでいます。飛び込む行為自体は直ちに違法ではないものの、大阪府警の警備担当者は「大変危険なので、絶対にやめてほしい」と強く呼びかけています。
また、2005年のリーグ優勝時には、盗撮や交番のガラスが割られるなどの違法行為も発生しました。大阪府警はこれらの違法行為への対応も含め、優勝が決まる可能性がある全ての日において厳重な警戒を行います。
結び
阪神タイガースの優勝は、多くのファンにとって待ち望んだ歓喜の瞬間です。しかし、その喜びが危険な行為や事故に繋がらないよう、一人ひとりの責任ある行動が求められます。大阪府警は、安全で平穏な祝賀を確保するため、最大限の警備体制で臨みます。ファンの方々には、安全を最優先に、節度ある形で優勝を祝っていただきたいと思います。
参考資料
- 朝日新聞社