ウクライナの首都キーウは7日未明、ロシア軍によるウクライナ戦争勃発以来最大規模となる航空攻撃に見舞われました。この攻撃では、800機以上のドローンが投入され、特にキーウの政府庁舎が初めて標的となったことが確認されています。一連の攻撃により、少なくとも2人の市民が命を落とし、その中には乳児も含まれていました。キーウ全域では11時間にもわたり空襲警報が鳴り響き、市民は恐怖に包まれました。
過去最大の空爆と広範囲にわたる被害
ウクライナ空軍の発表によると、ロシア軍は合計810機ものドローンに加え、弾道ミサイル4発、巡航ミサイル9発を発射しました。ウクライナの防空システムがその大半を迎撃することに成功したものの、ドローン54機とミサイル9発がウクライナ各地の目標に命中し、甚大な被害をもたらしました。これは、2022年2月のロシア全面侵攻開始以来、これまで最大とされていた今年7月の攻撃規模を上回るものとなります。
今回の「大規模攻撃」はキーウだけでなく、クリビーリフ、ドニプロ、クレメンチュク、オデーサといったウクライナの主要都市も標的とされました。民間住居ビルへの攻撃では、尊い命が奪われる悲劇が発生し、地域のインフラにも深刻な影響が出ています。
キーウの政府庁舎近くで、ロシアによる過去最大規模の航空攻撃後の火災を消火するウクライナの緊急対応要員
政府庁舎への初の直接攻撃とウクライナ政府の声明
ウクライナのスビリデンコ首相は、今回の攻撃が「大規模攻撃」であるとの認識を示し、特にキーウの首相執務室や一部の政府省庁が入る建物が攻撃を受けたと明らかにしました。首相は、「政府庁舎やその屋根、上層階が初めて敵の攻撃で損傷した」と述べ、現地で消火活動に当たる救助隊に感謝の意を表明しました。この攻撃を受けた建物はキーウの官庁街の中心部に位置し、ウクライナ議会に隣接し、大統領府にもほど近い重要な拠点です。
スビリデンコ首相は、建物の再建は可能であるとしながらも、「失われた命は戻らない」と強調し、「敵は連日、我が国各地で国民を恐怖に陥れ、殺害している」とロシアの行動を強く非難しました。この発言は、単なる物理的な損害だけでなく、戦争がもたらす人道的な悲劇と市民の苦しみを浮き彫りにしています。
まとめ
今回のロシア軍によるキーウへの過去最大規模の航空攻撃は、ウクライナ戦争の新たな段階を示唆しています。政府庁舎という中枢施設が初めて標的とされたこと、そして民間人への犠牲は、国際社会における緊張を一層高めるものと言えるでしょう。ウクライナの人々が直面する困難は続き、平和への道のりは依然として遠い状況です。
参考文献
- ロシア軍が初めて政府庁舎を攻撃 (CNN.co.jp)
- ロシアによるキーウへの攻撃後、消火活動に当たる緊急対応要員 (Yahoo!ニュース)