家族5人で初の外出、母感激 「荷物多くとにかく大変」医療的ケア児のお出かけ、阻む障壁

家族5人で初の外出、母感激 「荷物多くとにかく大変」医療的ケア児のお出かけ、阻む障壁

[ad_1] 水族館を訪れた豊田さん家族と看護師の長井瑠維さん=2023年5月、横浜市  「家族みんなで外出できたのは初めてです。感激しました」。豊田恵美さん(44)は5月に水族館を訪れた後、そう言って笑顔を見せた。豊田さんの横には、看護師に車いすを押される次男の琉叶(るか)君(7)の姿があった。琉叶君は特別支援学校小学部の2年生。日常的に人工呼吸器やたんの吸引などが必要な「医療的ケア児」だ。多くの家庭が当たり前に楽しめる外出が、感激するほど特別なことになるのはなぜなのか。取材を進めると、外出を阻むさまざまな障壁が浮かび上がった。(共同通信=沢田和樹)  ▽「新鮮な体験」に兄妹も興奮、笑顔 看護師の介助を受けて車いすで水族館を回る豊田さん家族=2023年5月、横浜市  豊田さんたちが訪れたのは「横浜・八景島シーパラダイス」。夫の篤史さん(44)、長男の琉乃介君(10)、長女の莉琉ちゃん(1)も含め、家族5人で一緒に出かけられたのはこの日が初めてだった。  お出かけには、子育て支援団体の認定NPO法人「フローレンス」(東京)の協力で看護師2人が同行し、琉叶君のケアを全面的に担った。豊田さん夫妻は琉叶君を気に掛けつつ、兄妹と水族館を見て回った。琉乃介君は時折水槽の魚に目を凝らし、イルカショーでは水が飛んで来る前列で堪能。莉琉ちゃんも初めての水族館に興奮した様子で、周囲の人に笑顔を振りまいた。  篤史さんは「新鮮な体験でした。サポートがないと、外出しても疲れて終わっちゃうこともあります。琉叶もいつもより目を動かして、テンションが上がっているように見えました」と語った。  ▽7割が「外出は困難」…施設に預けて外出しても募るもやもや 人工呼吸器や加温加湿器、予備のバッテリーなど車いすに積み込む荷物は大量になる=2023年5月、横浜市  医療的ケア児は、医療技術の発達により、昔は助けられなかった新生児の命を救えるようになったことで増加傾向にある。琉叶君は、出産時に無呼吸状態が長く続いたことで医療的なケアが必要になった。  琉叶君のように寝たきりで人工呼吸器が必要な子どももいれば、たんの吸引などは必要でも走り回れる子どももいる。知的障害を伴うか、そうでないかによっても必要な支援は変わり、それぞれの医療的ケア児に合わせたサポートが求められる。  生活をする上で大変なことを豊田さんに尋ねると「荷物が多くて移動がとにかく大変。準備のことを考えると、外出は『もういいか』ってなっちゃう」と話した。荷物とは、人工呼吸器や、たんをやわらかくする加温加湿器、バッテリーに、栄養を送るチューブ、薬剤などだ。バッテリーが切れたり、薬剤が不足したりすれば命に関わるため、予備の持ち運びも欠かせない。車いすと琉叶君だけで30キロ程度になり、さらに数十キロの荷物を積むことになる。  2019年度の厚生労働省の調査では、医療的ケア児と暮らす家族の65・3%が「一緒の外出は困難を極める」と答えた。人工呼吸器を使う子どもに限れば、この数字が73・4%に上がる。  豊田さんは、琉叶君のケアに時間が必要な分、兄妹に寂しい思いをさせたくないという思いがある。そのため1カ月に1回、琉叶君を施設に預け、兄妹と外出するようにしている。必要なことだと考えてはいるが、もやもやは消えない。「琉叶に寂しい思いをさせているかもしれない。写真をSNSにアップするときも、気が引ける思いはずっとある」 [ad_2] Source link