評論 G20米中首脳会談開催へ、中国当局 北朝鮮・イランを切り札に 国際情勢がこの1週間で著しく変化している。香港での大規模な抗議デモが行われた後、中国最高指導者の北朝鮮訪問や、米国とイランの対立激化が相次いで報じられた。今月末に...

評論 G20米中首脳会談開催へ、中国当局 北朝鮮・イランを切り札に 国際情勢がこの1週間で著しく変化している。香港での大規模な抗議デモが行われた後、中国最高指導者の北朝鮮訪問や、米国とイランの対立激化が相次いで報じられた。今月末に…

[ad_1] 米中貿易摩擦 評論 2019年06月20日 06時00分 昨年12月1日、アルゼンチン・ブエノスアイレスにて開催されたG20サミットで米中首脳会談が行われた(SAUL LOEB/AFP/Getty Images) 香港で「逃亡犯条例」改正案に反対する大規模な抗議デモが行われた後、中国最高指導者の北朝鮮訪問や、米国とイランの対立激化が相次いで報じられた。18日、習近平国家主席とトランプ米大統領が電話会談を行い、大阪で開催されるG20サミットで、貿易などの幅広い議題について、首脳会談を行うと約束した。筆者は、中国当局が交渉のテーブルに、米国に北朝鮮とイランカードを切り出すとみている。 北朝鮮カード 中国国営新華社通信は17日、習近平国家主席が北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の招待に応じ、20~21日までの日程で同国を公式訪問すると発表した。習近平氏が2012年、中国共産党の最高指導者に就任してから、初の訪朝となる。また、中国当局の国家主席が訪朝するのは約14年ぶり。 この訪朝発表のタイミングに注目したい。香港ではその前日の16日、中国国内への犯罪容疑者の移送を可能にする「逃亡犯条例」改正案の撤回を求めて約200万人の市民が抗議デモを行った。香港市民は、改正案の通過で、香港における高度の自治と言論の自由が失われ、本土に身柄を引き渡される反中国共産党体制の活動家が急増することを危惧し、過去1週間に3回の抗議活動を展開した。 9日に行われた1回目の抗議デモでは100万人の市民が参加した。12日の2回目の抗議活動では、香港警察当局は抗議者に催涙弾やゴム弾などを発射し強硬制圧した。数多くの負傷者が出たことで、国際社会が香港政府の対応を強く非難した。 香港情勢が緊迫するなか、中国当局が突如、習近平国家主席の訪朝を発表した理由は2つあると考えられる。 1つ目は、国内外の注意を香港からそらすこと。香港政府は、12日の抗議活動を武力鎮圧した後、抗議活動は「暴動」だと決めつけた。中央政府の影響力を色濃く反映した香港政府の態度に、香港市民の不満が一気に爆発し、16日に過去最大規模の200万人の市民が街に出て、条例改正案の撤回と林鄭月娥・行政長官の辞職を求めた。 市民の強い反発に対して、林鄭月娥・行政長官は謝罪し改正案の審議延期を発表した。中国当局も事態を収束するため、メディアを通じて改正案をめぐる香港政府への介入を否定し、情勢混乱の責任を林鄭氏に押し付けようとした。 6月13日、中国の劉暁明・駐英大使はメディアに対して、中国当局が香港政府に「逃亡犯条例」の改正を指示したことはないと述べながら、改正に反対しないと強調した。米紙ニューヨーク・タイムズとロイター通信は16日、中国当局者の話として、中国指導部は香港情勢の混乱を招いた原因は林鄭行政長官にあり、同氏の統治能力を疑問視したとそれぞれ報道した。ロイター通信は、香港市民の不満拡大で、香港政府と中国当局は「仕方なくブレーキを踏まなければならなかった」とした。 17日、不意の訪朝発表は、国際社会の目線を早く香港からそらすという中国側の意図が見て取れる。 2つ目は、中国当局は「G20サミット」に出席するトランプ大統領との米中首脳会談で、交渉のカードに再び北朝鮮問題を持ち出し、米側をけん制しようとする企みがある。 トランプ米大統領と習近平国家主席は、月末に大阪で開かれるG20サミットに出席し、貿易問題について首脳会談を行う予定。 …