中国、台湾の独立志向の高まり警戒 態度硬直化の可能性





ダライ・ラマ(右)と手を握り合う台湾の李登輝元総統=1997年3月27日、台北(AP)

 【北京=三塚聖平】台湾の李登輝元総統の死去を受け、中国はこれを機に台湾で独立志向が高まることを警戒している。

 中国で台湾政策を担当する国務院(政府)台湾事務弁公室の朱鳳蓮(しゅ・ほうれん)報道官は7月31日、李氏の死に関して「『台湾独立』は袋小路だ。国家統一、民族復興という歴史の大勢は、いかなる人や勢力も阻止できない」と台湾側を強く牽制(けんせい)した。

 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は社説で、李氏について「台湾の民主主義に祖国分裂の根を植え付けた」と非難。「疑いなく中華民族の罪人だ」と罵倒した。

 死者に鞭(むち)打つのは、中国側が台湾へのいらだちを強めているためだ。香港国家安全維持法(国安法)の施行後、台湾では中国への反発が強まった。習近平国家主席は「一国二制度」の方式による統一を台湾に呼び掛けているが、香港での国安法施行により同制度が形骸化されたことで、台湾の蔡英文政権が受け入れる可能性は無くなった。

 加えて、香港問題で対中批判を強める米国が、台湾に関しても介入を強めることを警戒する。中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は31日の記者会見で、ポンペオ米国務長官が李氏の功績をたたえる声明を出したことに対して「台湾独立勢力に誤った合図を出さないよう求める」とクギを刺した。

 今後、各国の政府関係者による李氏の葬儀への参列といった国際社会の動きが強まれば、台湾に関する態度をさらに硬化させる可能性がある。



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