慰霊碑の前で黙とうをささげる掛川、菊川署の署員ら(21日、菊川市中内田で)
1972年1月、静岡県警掛川署刑事課長だった中野倉治警部補(当時53歳、死後に警視)が職務質問をした男に刃物で刺されて殉職した事件から50年を迎えた21日、現場付近の菊川市内の慰霊碑で追悼式が開かれた。掛川署と菊川署の署員らが冥福(めいふく)を祈った。
事件は72年1月21日未明に発生した。掛川署によると、殺人事件で指名手配中の男が、掛川市内で職務質問をした警察官の顔面をバールのようなもので殴って逃走した。捜索していた中野警部補は、菊川町(現菊川市)内で不審な男を発見。職務質問したところ、男に隠し持っていたナイフで首などを刺された。
中野警部補は血を流したまま100メートル余りを追跡し、男を取り押さえた。駆けつけた同僚に「後は頼む」と言って手錠を渡し、搬送先の病院で死亡した。
追悼式には16人が参列。掛川署の菊地邦宏署長、菊川署の吉川靖剛署長が慰霊碑に献花し、全員で黙とうをささげた。
菊地署長は「中野警視の勇敢な魂を引き継ぎつつ、自分も犯人もけがをせずに逮捕するよう学ばないといけない」、吉川署長は「警察官の仕事は常に危険と隣り合わせだという覚悟を若手警察官にも持ってもらいたい」と話した。