ロシアのプーチン大統領(古厩正樹撮影)
ロシアのプーチン大統領は9日、ロシアによる核兵器の使用を米欧側が警戒していることについて「ロシアの核は抑止力だ」とし、先制使用に否定的な考えを改めて示した。ただ、米国はロシアと異なり予防的な先制攻撃を認めていると主張し、「ロシアも米国の考え方を採用することを検討するかもしれない」と表明。将来的に核の使用条件を見直し、先制使用を容認する可能性を示唆した。
【写真】ウクライナ軍の攻撃で破壊されたとするロシア軍陣地
中央アジアのキルギスで同日開かれたユーラシア経済連合の首脳会談後の記者会見で述べた。
プーチン氏は、ロシアを核攻撃した国には報復核が降り注ぎ、「敵は跡形も残らない」とも警告した。
ウクライナ侵略でロシアは核使用の可能性を示唆。ロシアは核をちらつかせ、ウクライナや同国を支援する米欧に抗戦を断念させる思惑だとみられている。
一方、露産原油に1バレル=60ドルの上限価格を設定した米欧側の追加制裁について「ロシアはそのような国には(原油を)売らない」とする原則的立場を述べた上で、「具体的な対応策は今後数日中に署名する大統領令で示す」と明らかにした。減産などが含まれる可能性があるという。「上限価格は現在の販売価格とほぼ同じで、露財政への影響はない」とも主張した。
ウクライナ情勢に関し、プーチン氏は、停戦は「容易ではなく時間がかかるだろう」と長期化を改めて示唆。ただ、最終的には「戦場の現実に応じて合意に至るはずだ」と述べた。