参院選(4日公示-21日投開票)に向け、与野党の7党首らは3日、日本記者クラブ主催の党首討論会に臨んだ。主要野党は、老後に年金収入以外で2000万円の蓄えが必要とした金融庁金融審議会の報告書を踏まえ、年金問題を争点に取り上げた。集団的自衛権行使を限定的に認める安全保障関連法や憲法改正をめぐっても、与野党の違いが浮き彫りになった。
■年金問題
野党がやり玉に挙げたのが年金だ。麻生太郎財務相兼金融担当相が金融審の報告書を受け取らないと表明したことや、政府が5年に1度年金の長期的な給付水準を示す財政検証を公表しないことを問題視した。
立憲民主党の枝野幸男代表は「(政府の対応では)年金制度への不安は解消されない。年金の少ない高齢者はどうしたらいいのか」と批判した。国民民主党の玉木雄一郎代表も「年金の最低保障機能を高めなければいけない」と訴えた。
安倍晋三首相(自民党総裁)は「負担を増やさず、年金給付を増やす打ち出の小づちはない」と指摘。低年金者に最大年6万円を支給する給付金などをあげ、理解を求めた。
■外交・安全保障
主要野党は、安保関連法や、米軍普天間飛行場(沖縄県宜(ぎ)野(の)湾(わん)市)の名護市辺野古移設に反対する姿勢も鮮明にした。
社民党の吉川元・幹事長は中東情勢の緊迫化を念頭に「戦争が起こった場合に(米国から)自衛隊の出動を要請される」と述べ、安保関連法の廃止を訴えた。
首相は、日米安全保障条約で米国が日本の防衛義務を負い、日本は基地を提供する「双務性」をトランプ米大統領に説明したと強調。米艦防護などを可能にした安保関連法が「同盟の絆を強くした」と述べた。
首相は自衛隊を憲法違反とする共産党と合憲とする立憲民主などの野党が参院選の改選1人区で候補者を統一したことに触れ「政府を倒すためだけに統一候補を選んでおり、選挙が終わったらバラバラになる。決められない政治の再現としかいえない」と批判した。