ウクライナ軍の反攻作戦、互いに演じる役も台本の内容も分かっている戦い

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英国のTimes紙は29日「ウクライナもロシアも選択の余地がなく、ウクライナは支援国の期待に応えるため夏までに大攻勢を、ロシアは西側を喜ばせるような勝利を否定しなければならず、互いに演じる役があり台本の内容も分かっている」と指摘した。

これまでウクライナ人は我々を驚かせてきたが、現在は作戦の選択肢がかなり少なくロシア人もそれを知っている

英国のTimes紙は29日「ウクライナは大攻勢に出る準備が出来ていないが選択の余地がない。西側諸国の供給を上回るスピードで弾薬を消費しているにも関わらず、春か夏までに大攻勢を開始するしかないが、幸いなことにロシアも新しいアイデアが尽きている。大攻勢の結果がどうなるにせよ戦いが長引くことで最大の利益を得るのは中国だ」と指摘しており、この興味深い主張の内容を要約すると以下の通りなる。

ウクライナ軍の反攻作戦、互いに演じる役も台本の内容も分かっている戦い

出典:管理人作成

ウクライナは待望の反攻作戦について「スポーツ観戦と同じように扱わないで欲しい」と訴えていたものの、ソーシャルメディア上の「Armchair Warrior(軍隊での勤務経験や戦闘経験がない人々が快適な場所で戦争や戦闘を論じることを指す蔑称)」は熱心に作戦の内容や結果を議論し、レズニコフ国防相も「ほぼ準備が整っているため神の意志、天候、指揮官の決断があれば直ぐ実行に移す」と、ゼレンスキー大統領も「必ず反攻作戦は実施され我々の土地を解放できると信じている」と期待値を煽っている。

ウクライナ軍と行動を共にしている英国人将校も「ウクライナ人達は反攻作戦で大きな成果を上げることに自信満々だ」とTimes紙に明かしているが、クレバ外相のみ加熱する反攻作戦への期待値を下げるため「今回の反攻がロシアとの決戦だと認識しないで欲しい。決定的な戦いとは占領下にある土地の完全解放に繋がるものを指す」と訴え、これは漏洩した機密文書の中で発覚した米国の評価に近い。

ウクライナ軍の反攻作戦、互いに演じる役も台本の内容も分かっている戦い

出典:Генеральний штаб ЗСУ

米諜報機関は「ウクライナはヘルソン州とクリミアが接続される部分を目指し南下するだろう。塹壕・防衛陣地・障害物・地雷が張り巡らされたザポリージャ州の前線を突破しなければならず、訓練された兵士や弾薬の供給面でも持続性に欠けるため、ささやかな領土の奪還しかもたらさない可能性がある」と警告、一部の議員に提供された機密資料の中でも「ハルキウやヘルソンほどの成功は見込めない」と指摘している。

この様な意見の相違は戦術と戦略の違いを反映している可能性が高く、これまでウクライナ軍は創造的なアイデアや工夫でロシア軍を出し抜き、西側諸国は反攻作戦に必要な装備の98%を引き渡したと述べているが、反攻部隊の頭上を保護する防空システムが欠けているため空からの攻撃に脆弱で、半年にも満たない訓練期間で2,000輌近い新装備を使いこなせるのか、急造の諸兵科連合作戦を実行できるのか、そもそもウクライナ軍の指揮官が西側の装備システムと戦術に適応できるのか誰にも分からない。

ウクライナ軍の反攻作戦、互いに演じる役も台本の内容も分かっている戦い

出典:PRESIDENT OF UKRAINE

ゼレンスキー大統領は言葉巧みに西側諸国から支持を取り付けきたが、ワシントンが言うところの「投資対効果」を示さなければならない時期に差し掛かっており、Times紙は「準備が完全に整うまで反攻作戦の実施を見送ることは不可能で、現実的にウクライナは春か夏までに大規模な反攻を仕掛ける以外の選択肢がない」と指摘、米国の国防当局者も「これまでウクライナ人は我々を驚かせてきたが、現在は作戦の選択肢がかなり少なくロシア人もそれを知っている」と述べている。

2,000輌近い戦車や装甲車輌をウクライナ軍に提供するということは、これだけの装備を運用するためスペアパーツや弾薬も供給しなければ意味がなく、HIMARSが使用するGMLRS弾、榴弾砲や自走砲が使用する155mm砲弾、パトリオットやNASAMSで使用する迎撃弾等の年間生産量を考慮すれば、反攻作戦の攻勢限界がどの程度なのかを(ロシアが)推し量るのは容易だろう。

ウクライナ軍の反攻作戦、互いに演じる役も台本の内容も分かっている戦い

出典:Kremlin.ru/CC BY 4.0

逆にロシアも供給量を越える砲弾を消耗し続けており、特別軍事作戦の攻勢規模が積極的になればなるほど人的損失が増加し、これを補うためプーチン大統領は「動員の再実施」か「徴兵した兵士の投入」を迫られ、9月に地方選挙、来年の3月に大統領選挙が控えているため「不人気な政治的決断」を下したくないないため、ロシアも攻勢を局地的に留めて防御を固めるという戦略しか選択肢がない。

さらに中国は戦争が長引けば長引くほど、ロシア経済へのダメージが大きくなればなるほど「より大きな影響力」が手に入ると考えており、Times紙もロシア人政治アナリストの発言を引用して「まだ習近平はプーチンが望む武器・弾薬の供給や政治的支援を約束しておらず、何も約束しないことが影響力の最大=中国の国益に繋がると考えているのは確実だ」と指摘し、以下のように記事を締め括っている。

ウクライナ軍の反攻作戦、互いに演じる役も台本の内容も分かっている戦い

出典:Генеральний штаб ЗСУ

“ウクライナもロシアも戦術的な自由度は高いが戦略的には限界があり、ウクライナは支援国の期待に応えるため夏までに大攻勢を、ロシアは西側を喜ばせるような勝利を否定しなければならず、互いに演じる役があり台本の内容も分かっている。それぞれが与えられた配役を上手く演じ、不測の事態も即興の演技で切り抜けられるかが問題だ”

ウクライナ軍には水陸両用作戦を実行するだけの装備も能力もないため敵の意表を突く=奇襲要素を反攻作戦に盛り込むのは困難で、限られた装備と弾薬の範囲で行われる反攻作戦は「大きなリターンが期待できる地域」で実施される可能性が高く、これをロシアも承知しているため「配役も台本も決まっている戦い」と言う表現は言い得て妙だ。

ウクライナの反攻作戦、ハルキウやヘルソンほどの成功は見込めない
ウクライナ国防相、ほぼ準備が整った反攻作戦は天候と指揮官の決断次第
チェコ大統領、ウクライナ軍の大規模な反攻は1度きりで失敗すれば次はない

 

※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

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