自民党は参院選比例代表で前回の平成28年参院選と並ぶ19議席を獲得した。底上げを図ったのが党の支持団体が擁立した「組織内候補」だ。各団体が競うようにフル稼働し、比例票の上積みを図る戦略だった。
圧倒的な力を見せたのは全国郵便局長会が擁立した柘植芳文氏で、60万票以上を獲得し、「特定枠」で当選した2人を除きトップだった。前回の組織内候補の52万票を超え、柘植氏が初当選した前々回の25年参院選の42万票も大きく上回った。全国商工政治連盟などが推した宮本周司氏も前回の組織内候補の8万票の倍以上となる20万票を獲得して再選を果たした。
一方で、伝統的な組織の力の衰えも見られた。全国農政連が擁立した山田俊男氏は3選したが、山田氏が当選した前々回の33万票、前回の組織内候補の23万票から減らした。農家の高齢化に加え、政府・与党の農業政策への厳しい目が反映した可能性もある。15万票で羽生田俊氏が再選した日本医師連盟も前々回の24万票、前回の21万票と比べ減少傾向にある。
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連合は長年支援してきた旧民進党の分裂後、初めての参院選だった。全国が舞台の比例は組織力がカギだが、傘下の産業別労組(産別)ごとに支持政党が分かれる「股裂き状態」となった。立憲民主党から出馬した組織内候補全員が当選した一方、国民民主党は現職が落選するなど、党勢を反映して明暗が分かれた。
連合の組織内候補は10人で、立民、国民から5人ずつ立候補した。立民は当選8人のうち上位5人を組織内候補が占め、最多得票は自治労出身の新人、岸真紀子氏の15万票だった。
国民は3議席にとどまった。電力総連、自動車総連は堅調だったが、現職で電機連合の石上俊雄氏は19万票でも落選した。立民から出馬した私鉄総連の森屋隆氏は10万票で当選。比例全体の総得票は立民の791万票に対し国民は348万票で、党の勢いの差がくっきりと表れた。
玉木雄一郎代表は22日に連合本部を訪れ、これを謝罪。連合の神津里季生(りきお)会長は記者会見で「非常に残念な結果だ」と述べた上で「立民、国民両党の力合わせの見え方が弱かったことが反映されている」と敗因を語った。(広池慶一)