さいたま市の埼玉弁護士会館で4月、新会長の就任記者会見が開かれました。新会長の尾崎康さん（62）は、柔和な表情で報道陣に挨拶しました。その際、康さんはこう語りました。「私の弟は尾崎豊というシンガー・ソングライターでした。」
尾崎豊という名前は、20代の私にも馴染みがあります。スマホで検索してみると、「Ｉ ＬＯＶＥ ＹＯＵ」「卒業」という曲が並びました。1980年から1990年代にかけて、彼はカリスマシンガーとして人気を集めました。しかし、その兄が弁護士会会長に就任したというニュースは、予想以上に大きな反響を呼びました。
その日の夜、母から電話がありました。「尾崎豊のお兄さんが埼玉弁護士会会長になったんだって！」と興奮気味に伝えられました。そして、取材先でも同じような声を聞くことがありました。
これほどの反響を受け、「彼が残した社会的な影響は、私の想像を遥かに超えているようだ」と私は考えるようになりました。
尾崎豊は1992年に亡くなりました。私はまだ生まれていませんでしたが、彼の歌は私にも聞き覚えがあります。実際にカラオケで歌ったり、車を運転しながら「OH MY LITTLE GIRL」を流したりしたこともあります。ただ、彼の姿はカラオケ映像でしか見たことがなく、どこか遠くに感じられました。
尾崎豊がなぜ今でも話題になるのか、彼はどんな人だったのか。兄である康さんが明かした「弟の死をきっかけに司法勉強に力を入れた」という言葉の意味は―。
兄弟はどんな人生を歩み、何を感じていたのか。私は康さんに「ユタカ」について聞くことができました。（共同通信＝櫛部紗永）
不登校から始まった兄弟の物語
まず、康さんに会う前に尾崎豊について調べてみました。彼は生前、10代の若者から大きな支持を受け、「教祖」「救世主」と呼ばれていたようです。あるライブ映像では、ギターを手にして苦悶の表情で歌う彼の姿がありました。彼の歌は内省的で力強く、意志の強さが感じられました。一方、康さんは落ち着いた様子で質問に答える会見の様子が印象的でした。
以上が尾崎豊と康さんの兄弟の物語です。尾崎豊の存在は31年も経った今でもなぜこんなにも話題になるのか、彼の魅力に迫ってみました。
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