鳥栖市の両親刺殺──父子関係について

つらい思いさせ、覚えがないのかと怒り──父親の言動を明らかにする

さて、佐賀県鳥栖市の実家で起きた悲劇。元九州大生の19歳の長男が、3月に両親を刺殺したとして殺人罪で裁判にかけられました。裁判員裁判が行われ、父親の言動が明らかになりました。その言動には、長男に対する期待と殺意を募らせた関係が浮き彫りになっています。さて、長男が法廷で「心の支えだった」と語った父親殺害。果たして、その言葉は裁判員の心にどのように響いたのでしょうか。判決は15日に佐賀地裁で言い渡されます。

長男への怒り──父親の感情と絶望的な思い

「なんで……」。長男がとどめを刺そうとすると、父親は怒りを感じながらもこう口にしました。「あれだけつらい思いをさせておいて、覚えがないのかと怒りを感じたんだよ」と。つまり、父親は長男に対して長い間苦しい思いをさせてきたことを覚えておかないのかという怒りが湧き上がっていたのです。長男は被告人質問でこの事実を語りました。母親も止めに入ろうとして刺されましたが、父親しか見えていなかったとのことです。

「虐待」を受けて──長男の証言

長男の証言によると、父親からの「虐待」は成績が悪いと1時間以上正座させられたり、平手打ちや脇腹を蹴られるといったものでした。父親は「失敗作」といった言葉を発し、長男の夢である建築士や本の好みを否定し続けました。長男は父親殺害について、「心の支えだったからやらなければならなかったんだ。放棄したら生きてきた意味がなくなってしまう」と説明しました。

父親を恐れて──長男の進学と復讐心

長男は父親を恐れて迎合する習慣があり、父親が撮影した長男と長女の写真を待ち受け画面にし、以前に父親が車の中にしのばせた長男からの手紙を大切に持ち歩いていました。さらに、父親が実際には入学していない九州大学を中退したことを周囲に嘘をついていた長男は、九州大学に自ら進学すると決め、福岡市で一人暮らしを始めました。しかし、復讐心は消えることはありませんでした。わざと成績を落として実家に呼び出され、そこで殺害を実行したのです。「もう生きても死んでも、どちらでもいい。残る人生は消化試合」と彼は投げやりな言葉を発していました。

父子の異なる認識──法廷で明らかになった証言

法廷では、長男の証言とは対照的な父親の姿も明らかにされました。父親の弟が証言し、父親が長男と長女の写真を携帯電話の待ち受けにし、子供たちが幼い頃に父親に宛てた手紙を車の中にしのばせていたことを明かしました。また、親子の携帯電話でのやりとりからは、父親が長男が欲しいと思っていたCDをこっそり買っていたり、LINEで「やればできる子」と励ましていた様子がうかがえます。

専門家の指摘──長男と父親の心理状態

臨床心理学の専門家によれば、長男は高い知能を持っている一方で、他人の気持ちを理解するのが苦手な傾向があります。一方、父親については、実際には九州大学に入学していなかったことを周囲に嘘をついていたことから、彼自身の劣等感を払拭するために、長男に厳しく高い学歴を求めた可能性があると指摘されています。

(以上、上本虎之介、小林夏奈美の報道より)

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