米国とベトナム、ロシアとの関係強化の舞台裏

米国はベトナムとの関係強化に向け、F-16の売却に関する交渉を進めています。この取引が成立すれば、両国のパートナーシップは一層強化されることになります。しかし、ベトナムは武器調達の多角化を進める一方で、ロシアとの関係を断ち切るつもりはありません。

ベトナムはこれまでに輸入した武器の80%以上がロシア製であり、「ベトナムの安全保障はロシアに依存している」と言っても過言ではありません。しかし、この依存は問題視され、ベトナムは武器調達の多角化を進めています。ウクライナ侵攻を受けてこの取り組みは加速し、ハノイで開催された国際武器見本市にはロシア企業の他にも西側企業が注目を集めました。

米国は以前からロシア製装備品を購入する国に対して制裁措置を取ってきましたが、ベトナムを取り込むためにバイデン政権も米国製兵器の売却を提案しています。しかしながら、ベトナムの外交的立場は非常に複雑であり、中国との領土紛争を抱えています。そのため、ベトナムに対して非現実的な期待を抱くことは危険であり、ベトナムは米国との関係を強化しながらも中国やロシアとの関係を軽視していないことをアピールする必要があります。

ベトナムの外交バランスは非常に微妙であり、大国同士の争いに巻き込まれることを避けようとしています。ベトナムは米国と中国、ロシアとの関係を上手く調整する必要があります。アジア太平洋安全保障研究センターのアレクサンダー・ブービング教授も、「ベトナムは米国との関係を強化しながら中国やロシアにも関係を軽視していないことをアピールする必要がある」と述べています。

ベトナムは自国の安全保障を考え、ロシアとの関係強化を試みています。これは飽くまで「ロシア依存からの脱却」を目指すものであり、「ロシアを切って米国と握手する」という意味ではありません。

参考リンク: 日本ニュース24時間