自民安倍派、結束力の崩壊 5人衆の留任に疑問の声

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自民党の安倍派(清和政策研究会)は、集団指導体制を掲げて再出発しましたが、結束力の崩壊が早くも表面化しています。中心となる「5人衆」が、内閣改造や党役員人事において重要なポストに留任する一方で、新たに要職に起用された議員は少なく、その姿勢に批判が噴出しています。

安倍派の常任幹事会座長である塩谷立・元総務会長は、内閣改造に関して記者団に対し「(閣僚を)あと1人、2人ということで交渉したが、残念ながらもう一歩だった」と語りました。

内閣改造では、高木毅国対委員長、松野博一官房長官、西村康稔経済産業相、萩生田光一政調会長の続投が決まり、5人衆の一人である世耕弘成参院幹事長も再任されました。岸田文雄首相が最大派閥の安倍派のバランスに配慮した結果であり、来年の党総裁選に向けての準備とも言えます。

一方で、初入閣は鈴木淳司総務相と宮下一郎農林水産相の2人で、再入閣はありませんでした。安倍派は100人以上の規模を誇るだけに、第2派閥の麻生派(55人)と同じ閣僚4枠には不満の声が高まっています。特に、今回の内閣改造で初入閣を逃した「待機組」の衆院当選5回以上のベテラン議員たちは、5人衆の譲り合いがあれば良かったと強く感じています。

安倍派は、昨年7月に安倍晋三元首相が亡くなった後、後継会長を決めることができずに時間が経過しました。しかし、派のOBである森喜朗元首相の意向を背景に、5人衆を中心とした15人の常任幹事会が設立され、体制の再出発が始まりました。

しかしこの新体制も、会長が決まるまでの暫定措置であり、15人もいる常任幹事会では指導力が発揮しにくいため、実際に内閣改造や党役員人事前に開催されたのはたった1回でした。このような状況に対し、反5人衆の閣僚経験者は「新体制への移行に意味があったのか」と不満を募らせています。

さらに、内閣改造直後の15日には土井亨衆院議員が安倍派を退会し、メンバーが100人を下回りました。5人衆への不満もその一因であり、これからも退会者が相次ぐ可能性があるとされています。

結束力の崩壊が明らかになった自民党安倍派。今後どのような展開を見せるのか、注目が集まっています。

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