イラン介入に備える米下院、米軍の軍事力行使を承認する法案を準備中

米下院は、イランの介入への備えとして、米軍による軍事力行使を承認する法案を準備している。この動きにより、イスラエルとハマスの戦いがイランとの代理戦争に拡大した場合、アメリカも介入することを意味している。

バイデン大統領の権限拡大

下院外交委員会のマイケル・マッコール委員長は、「イスラエルとハマスの戦いがイランとの代理戦争に拡大した場合に備え、米軍の武力行使を許可する法案を起草している。この法案が必要にならないことを願っているが、中東情勢は日に日に激しさを増しており、イランは『もしガザにイスラエルが入ればヒズボラが出てくる』と脅している」と述べている。

この「米軍の武力行使を許可する法案」とは、「軍事力行使権限承認」(Authorization of Use for Military Force)のことであり、通常は議会が「宣戦布告の権限」を持っているが、AUMFが承認されればその権限は大統領に移譲されるため、バイデン大統領は自由に米軍を動かすことができるようになる。つまり、イランが介入するならアメリカも介入するということだ。

ただし、マッコール委員長は「万が一に備えて法案を準備しているものの、最も重要なのは国民からの支持を得ることだ」とも述べており、法案が成立するかどうかは分からない。

イスラエルへの軍事援助

イスラエルがアメリカに100億ドルの緊急軍事援助を要請したとされている。上院のチャック・シューマー院内総務も、テルアビブを訪問した際に「アイアンドームで使用する迎撃弾、精密誘導爆弾、JDAMキット、155mm砲弾の提供を議論している」と明かした。

アメリカは、イスラエルへの軍事援助として「アイアンドーム開発・調達」に累計25億ドル以上を提供しており、迎撃弾の主要部品生産にはRTX(旧レイセオン)が関与しているため、迎撃弾を補充するためにはアメリカの協力が必要となる。

精密誘導爆弾やJDAMキットはウクライナ支援とは別であり、155mm砲弾の提供は中東有事に備えてイスラエル国内に事前備蓄されている分にアクセスを許可する意味だ。ただし、ウクライナ支援で15万発が転用されているため、備蓄には15万発程度しか残っていない。

もし中東で戦争が勃発し、イランとの代理戦争に発展すれば、アメリカの武器供給能力は非常に苦しくなるだろう。

結論

イスラエルとハマスの戦いがイランとの代理戦争に拡大する可能性に備えて、米下院は米軍の軍事力行使を承認する法案を準備している。この動きにより、アメリカもイランの介入に対して介入することが明示されている。また、イスラエルへの軍事援助についても話し合われており、アメリカの協力が不可欠であることが示されている。

【出典】

  • Photo by Staff Sgt. Taylor Drzazgowski
  • 管理人作成
  • Israel Defense Forces / CC BY-SA 3.0

【参考リンク】