「人としての気持ちを思い出して」ひき逃げ事件で息子を亡くした父親が生放送で容疑者へ出頭を呼びかけ

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2022年6月、大分県別府市で発生したひき逃げ死亡事件で亡くなった大学生の父親が、事件後初めて生放送番組に出演し、逃亡中の八田與一容疑者に出頭するよう呼びかけました。

「逃げ回るのではなくて人としての気持ちを思い出して、罪を認めて自ら出頭していただきたいと強く思います」と、亡くなった大学生Aさんの父親は訴えました。

ひき逃げ事件は、2022年6月29日に大分県別府市で発生しました。信号で止まっていたバイク2台に軽乗用車が追突し、当時19歳の大学生1人が死亡し、もう1人がけがをしました。警察は、現場から逃走した八田與一容疑者(26)を道路交通法違反の疑いで全国に指名手配しました。そして今年9月には「重要指名手配」に指定され、道交法違反の初の事例となりました。

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事件の直前、八田容疑者は事故現場近くのショッピングセンターの駐車場で、亡くなった大学生Aさんに対して一方的な言いがかりをつけていました。八田容疑者の軽乗用車は時速70キロ以上で追突し、ブレーキもかけずに電柱に激突しました。被害者2人のバイクは交差点の先まで吹き飛ばされ、もう1人の被害者Bさんは奇跡的に軽傷で済みましたが、Aさんは心肺停止となり病院で死亡が確認されました。大分県警は、八田容疑者が故意に追突した可能性も指摘していますが、逃走中のため明確にはなっていません。

亡くなったAさんは高校時代にプロサッカー選手を目指していましたが、ケガで断念せざるを得ませんでした。その後、別府市内の大学の経営学科に進学し、経営者を目指して世界で活躍することを夢見ていました。また、家族思いの一面もあり、母親の誕生日にはお小遣いで入浴剤をプレゼントするなどしていました。

Aさんと年の離れた兄弟のようだった父親は、「あっという間の1年だった」と振り返ります。また、「なぜうちの子なんだろう?」という気持ちや、遺族が精神的に病んだり病院に行く気持ちが初めてわかるような気がしたとも語りました。「精神的には一生戻らないと思う。何か違うことをやっていないと、ずっと考えていたら頭がおかしくなる」とAさんの父親は悲しみと苦しみを胸に抱えています。

一周忌の際には、ようやく仏壇を用意することができました。遺族にとって受け入れがたい現実が続く1年でしたが、その間に八田容疑者の母親から2通の手紙を受け取りました。手紙には「申し訳ありません」という言葉が書かれており、「一生懸命育ててきた」とも書かれていました。Aさんの父親は、自身も気持ちをぶつけた手紙を警察を通じて送り返しましたが、返信はなかったと話しています。

記事の出典元はこちら日本ニュース24時間

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