渡辺明九段に聞く 自分は自分のやり方で

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10月11日、将棋界の若きプリンス、藤井聡太竜王・名人が第71期王座戦五番勝負第4局で勝利し、空前の偉業を成し遂げました。これに関連して、渡辺明九段が日本将棋連盟から発売された将棋世界Special『八冠 藤井聡太―全冠制覇で突入する将棋界新時代』で藤井竜王の快挙について語っています。本記事では、渡辺九段のインタビューから、AI活用や将棋界の未来について紹介します。

AIによって、個性は失われるのか?

AIの台頭により、序盤の精度は向上する一方で、中盤や終盤の指し手の正確性を高めるためにはどのように勉強すれば良いのでしょうか?

渡辺九段は、「具体的には実戦や課題局面の考察や進行中の将棋の読みも重要ですが、正確性を求められるのは全ての棋士ではありません。例えば、中盤の正確性がやや劣る場合でも、その他の長所があればプロとして成功することはできます。野球で例えるならば、足が速ければ代走として出場できたり、守備が得意なら守備固めの時に重宝されることでしょう。自分の長所を把握し、それを伸ばすことが重要です。藤井聡太さんのように全ての能力を高めることがトップを目指す場合もありますが、同じ能力を追い求めるよりも、個々の個性を活かす方が面白いと思います。だから将棋の指導をするなら、まずは自分の長所を発見し、それを伸ばすことを重視します」と語っています。

棋士たちは一つの方向に向かって努力するのではなく、個々の長所を見極めて伸ばしていくことが重要です。終盤が得意な人や特定の戦術に精通している人など、それぞれの個性が面白さを生み出します。AIの普及によって、将棋界が角換わりや相掛かりの研究合戦に巻き込まれて窮屈な未来になるのではないかと心配されていましたが、渡辺九段は「個性があった方が面白い」と話してくれたことで、安心感を得ることができました。

最先端の研究スタイルとは?

将棋年鑑の藤井聡太竜王・名人インタビューで、藤井聡太さんは「特定の相手や特定の対局のために研究していない。自分の中で日々定跡作成をしている。その都度作戦を立てている方より自分のほうがラクなはず」と話していました。

渡辺九段は、「そのスタイルは現在主流となってきていると考えています。永瀬さんや伊藤さんも同様のスタイルを取っていますし、若手棋士の中にも増えている傾向があります」と述べています。

藤井聡太竜王の独自なスタイルではなく、現在は将棋界の主流となっていることに驚かされます。他の棋士の話を聞かなければ気づくことのなかった情報ですね。

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