中島美嘉さんディナーショー「1時間前」中止、チケット購入者に請求可能?

日本の人気歌手、中島美嘉さんが12月26日に予定していたディナーショーを「体調不良」を理由に中止しました。この中止の発表がショーの開始直前、約1時間前に行われたため、波紋を広げています。

中島さんは自身の公式インスタグラムを通じて、開催を楽しみにしていたお客様に多大なるご迷惑をかけたことを深くお詫びしました。また、購入したチケットは振替公演に有効であり、払い戻しも受け付けるとのことです。

ディナーショーはオンラインおよび埼玉県熊谷市のホテルで開催される予定でした。現地参加予定者の中には、既に交通費や宿泊費を支払っていた方もいるかもしれません。

今回のように直前の中止が起こった場合、購入者は主催側に宿泊費などの請求をすることができるのでしょうか。エンターテイメント問題に精通している河西邦剛弁護士に取材しました。

対応を誤れば「矛先」は主催者や事務所に向かうかも

購入したチケットには通常、公演中止の場合の免責事項が記載されています。公演中止時の宿泊費や交通費は「客の自己負担」とされることが一般的です。

しかし、直前の公演中止の場合、交通費や宿泊費が発生する可能性が高くなります。実際に訴訟に発展した場合、裁判所が免責条項を無効とし、一定金額の交通費の支払いを命じる可能性もあると考えられます。

ただし、こうした訴訟はほとんど存在しないとされています。特に大規模なコンサートの場合、主催者は興行中止保険に入っていることが多いため、交通費や宿泊費の支払いに関しては興行中止保険の範囲内で対応されることがあります。

イベント中止の決断に際して主催者が気をつけるべきこと

ファンにとって、楽しみにしていたイベントの中止は辛いものです。中島さんが体調不良で中止となった場合、ほとんどのファンは理解を示すと思われますが、喪失感をどこかに向けたくなるのは人間心理です。

このため、ファンの怒りや不満が主催者や事務所側に向けられることもあります。特に会場に来たファンがスタッフに不満をぶつけるような状況にならないよう、事務所主導でイベント主催者や会場と連携し、早期かつ積極的な状況説明を行うことが重要です。

また、事務所側としては中島さんの状況や経過を見ながら、本人からのメッセージを含め、積極的にファンに向き合うことも大切です。

ファンが再び中島さんのステージに立つ姿を見た際に、「このアーティストを応援して良かった」と思えるような対応が、ファンビジネスの肝だと考えられます。

中島美嘉さんの体調を心配する声も多くあります。中島さんのディナーショー中止については、現地で知らされたファンも中傷することなく受け入れているようです。

【取材協力弁護士】
河西 邦剛(かさい・くにたか)弁護士
「レイ法律事務所」、芸能・エンターテイメント分野の統括パートナー。芸能トラブル案件や知的財産分野に精通しており、日本エンターテイナーライツ協会(ERA)共同代表理事も務める。「清く楽しく美しい推し活~推しから愛される術(東京法令出版)」の著者です。

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  • 弁護士名:河西 邦剛(かさい・くにたか)弁護士
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