ふるさと納税が問題化、「限度を超え始めている」世田谷区長に直撃インタビュー

年末年始にかけて、ふるさと納税が盛り上がりを見せています。地方創生の一環として2008年から始まったこの制度は、2022年度には約890万人もの人々が利用するほど広まりましたが、最近では批判の声も上がっています。東京都知事の小池百合子氏をはじめとする政治家たちが、「ふるさと納税は地方税の原則を歪めるものだ」と指摘し、抜本的な見直しを求めています。他の自治体に税金が流れ、都の税収が減っていることや、返礼品競争などにも疑問が呈されています。

特に、東京の世田谷区は深刻な問題を抱えています。最新の数字によると、税収の約99億円が流出しており、保坂展人区長は「流出が止まっていない状態に危機感を抱いています」と述べています。しかし、地方の税収が増えているのであれば、本来の目的は達成されているのではないでしょうか。この問題について、『ABEMA Prime』に出演した保坂区長の意見を伺いました。

「限度を超え始めている」と保坂区長

世田谷区の予算において、ふるさと納税による99億円の減収は大きな影響を及ぼしています。保坂区長は「限度を超え始めている」と主張しています。

保坂区長は「区民サービスに影響が出ないようにしてきましたが、このまま減収が続くと『どこを削るか』という話になってしまいます。道路の補修や老朽化した学校の建て替えなど、現在多くのプロジェクトが進行中です。学校の建て替えには約40億円かかるため、3校を十数年かけて建て替える計画を立てています。しかし、数年後には規模を縮小するかもしれません。『もう少し待ってくれ』という話になる可能性もあります。新型コロナの影響も大きかったですが、いつ何が起こるかわからない状況です。92万人の生活をサポートするために、区の機能を維持することが絶対に必要です」

地方からの声も「不公平」と

地方からも「ふるさと納税は不公平だ」という声が上がっています。山形県酒田市の矢口副市長は、「地方で育った子どもたちが都会に吸収されてしまっている。ふるさと納税がなくなれば、地方交付税を充実させたり、別の制度を作らないとやっていけません」と話しています。

また、慶應大学特任准教授の若新雄純氏は、「理想的なのは都会の富裕層が田舎に寄付することですが、現在は全国どこからでも寄付が可能です。つまり、貧しい自治体は努力しないと税収が外に流れるのみです。これまで地元を支えてきた名士たちも、『良い返礼品があれば』という理由で外に寄付してしまうかもしれません。自治体では、数年前から専門の課や職員が設置されています。制度がある以上、取り組まないと損になる状況です」と指摘しています。

ふるさと納税制度は、地方創生の一環として始まりましたが、様々な問題が浮き彫りになってきました。今後、改善策が模索されることでしょう。ただし、地方と都市の格差をなくし、バランスの取れた社会を築いていくためには、より良い解決策が求められます。

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