初詣の屋台にまつわる都市伝説は本当? 社会学者が明かす真実とは

屋台の写真

初詣や縁日には、テキヤ(露天商)が出店していることがよくありますが、その背後には暴力団が関与しているのではないかというイメージを持つ人も少なくありません。しかし、このようなイメージは都市伝説なのでしょうか?また、もし現実的に可能だとしても、今の社会情勢から考えると、暴力団が縁日で堂々と商売できるのでしょうか?

テキヤとヤクザは別の存在

社会学者の廣末登氏によると、「テキヤとヤクザは基本的には別々の存在です。一部のテキヤ業界には暴力団も関与していますが、ほとんどのテキヤは暴力団とは無関係です。」とのことです。

テキヤの起源は、関東大震災後の東京で失業者が増えたことによって急速に広まったものです。しかし、戦争の勃発により人員や物資が不足し、テキヤの数も減少しました。終戦後に再びテキヤの数は増えましたが、敗戦による治安の悪化や進駐軍による警察の武装解除により、テキヤは自衛のために組織化せざるを得なくなりました。

テキヤと暴力団が似た組織構造を持つことや、一部の団体が暴力団になったり、みかじめ料を通じた関係性があることから、テキヤは一括りにされることが多いのです。

近年では、テキヤと暴力団の決別の動きも見られます。愛知県東部街商協同組合は、名古屋地裁に暴力団に支払ったみかじめ料の返還を求める訴訟を起こしました。また、東京の浅草を拠点とする暴力団「姉ヶ崎会」も解散し、テキヤとしての原点回帰を果たしています。

「賞味期限切れの食材」のウワサは本当?

テキヤの組合長や理事長は、各露天商組合の指導者です。彼らは縁日でのテキヤの配置や商品内容、衛生管理、ゴミの処理など、円滑な縁日の運営を行っています。

廣末氏自身も以前、テキヤで働いた経験があります。SNSなどで広まる「賞味期限切れの食材を使っている」というウワサについて、廣末氏は次のように説明しています。

「私が働いていた10年ほど前には、『食中毒を起こすのが怖い』との共通認識がありました。焼き鳥なども生焼けが怖いため、下ごしらえとして一度ゆでてから現場で調理することが一般的でした。これは祭りを開催している神社や、組合の指導者である親分の顔をつぶさないためにも必要な連帯感があるのです。」と廣末氏は話しています。

テキヤの世界は都市伝説や噂によって構成されることも多いですが、実際には厳しいルールに基づいて運営されているのです。

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