船名は「邦美丸」──漁業業界の働き方改革に挑む夫妻
日本の玉野市で、漁師の富永邦彦さん(36歳)は、妻の美保さん(36歳)と共に「邦美丸」という名前の船に乗り込んだ。この船の名前は、2人の名前から一字ずつ取ったものだ。
「完全受注漁」に取り組む富永邦彦さん(左)と妻美保さん=9月21日、岡山県玉野市
完全受注漁で働き方改革を実践
富永夫妻が実践しているのは、「完全受注漁」という働き方改革です。この取り組みにより、労働時間は半減するだけでなく、収入も増えたそうです。さらに、この取り組みは水産資源や環境の保護にも繋がっています。
完全受注漁とは?
「完全受注漁」の鉄則は、受注分以外の魚は海に返すことです。そのため、水揚げする魚の量が少なくなりますが、余裕を持って品質管理などの作業ができるようになり、顧客満足度と付加価値が上がるそうです。
富永さんは、毎回の出航前に予約を受けているため、取るべき魚の量を事前に把握しています。そのため、一匹ずつ丁寧に処理する余裕があり、新鮮で高品質な魚を提供できるのです。
笑顔の増えた富永さん一家(美保さん提供)=8月、岡山県玉野市
邦彦さんの顔には焦りの色はない
ある日、邦彦さんが漁の途中で船上で「今日は期待できないかも」とつぶやきました。漁の成果はあまり良くなかったようで、大量のクラゲとゴミが網にかかっていました。
しかし、帰港した後に先輩漁師に相談すると、クロダイを分けてくれるとのこと。邦彦さんは感謝の気持ちを込めて、喜んで受け取りました。
このような経験から、邦彦さんは協力し合える仲間との絆の重要性を理解するようになりました。
持続可能な漁業の未来
完全受注漁を実践する富永夫妻は、持続可能な漁業の未来を築いています。労働時間の短縮と収入の増加だけでなく、水産資源と環境の保護にも貢献しています。
富永夫妻の取り組みは、他の漁師たちにも広まっていくことを期待したいです。