自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件は、安倍派(清和政策研究会)の衆院議員池田佳隆容疑者の逮捕に発展した。岸田文雄政権発足2年余りで自民に所属した議員の逮捕や起訴は4人目。しかも党に籍を置く現職議員の逮捕という異例の事態に。政治不信の連鎖が首相の政権運営に与える打撃は計り知れない。野党は攻勢を強めた。
最近、逮捕や起訴をされた自民党議員の一覧
「大変遺憾。党として強い危機感を持って政治の信頼回復に努めなければならない」と岸田文雄首相は語った。池田容疑者はパーティー券の売り上げを超える額の裏金を受け取っており、早くから検察に目をつけられていた。しかし、首相サイドは「事件の全容が分からない」と動きが鈍り、池田容疑者を自民党から除名することは逮捕後のこととなった。
首相は政治改革について具体的な青写真を示さず、公明党や立憲民主党など野党は罰則強化などの政治資金規制法案を提示しているが、首相は「政治刷新本部で議論を深める」と述べるだけである。これに対し、自民関係者は首相を批判し、「リーダーシップを執ろうとしているが空回り。期待感は持てない」と述べている。
一方、野党は追及を続けており、立民の泉健太代表は今月召集の通常国会で追及する意欲を示している。「自民には自分たちの懐を温めるために政治をやっていた人間が数多くいる。金権体質をなくし、政治浄化をしたい」と指摘した。
閣僚経験者も「何をやっても駄目」と嘆く
政権は、能登半島地震への対応に迫られている中で、裏金事件が重大局面を迎えている。これに対し、閣僚経験者は「いよいよ何をやっても駄目だ。世論が『政権は何をしているんだ』となる。岸田氏は地震対応に専念し、区切りが付いた後には身を引いてもらうしかない」と退陣論をにじませた。
このような状況下で政権は打撃を受け続けており、今後の展開に注目が集まっている。