ハマス指導者ヤヒヤ・シンワル氏、イスラエル軍の攻撃により死亡か?組織弱体化の懸念高まる

イスラエルとハマスの戦い、指導者排除が続く

イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃が続く中、イスラム組織ハマスの最高指導者ヤヒヤ・シンワル氏の死亡が確認された場合、組織の弱体化は避けられないとの見方が強まっている。

イスラエル軍の攻撃により破壊されたガザ地区の建物イスラエル軍の攻撃により破壊されたガザ地区の建物

イスラエル軍は、ガザ地区での戦闘においてハマスの幹部を次々と排除してきた。イスラエルにとって「ハマス壊滅」は重要な目標であり、シンワル氏は最後の主要標的とされていた。

ガラント国防相は、シンワル氏の死亡の可能性を示唆する軍の発表を受け、「敵はどこにも隠れることはできない。我々は追跡し、排除する」とX(旧ツイッター)に投稿。ハマスの指導部に対する強硬姿勢を改めて示した。

ハマス幹部の相次ぐ死亡、組織への影響は?

ハマスは昨年10月、イスラエルへの奇襲攻撃を仕掛けたが、その後、イスラエル軍の報復攻撃により多くの幹部が死亡している。

今年3月には、ガザ中部ヌセイラトでの空爆で、軍事部門「カッサム旅団」ナンバー2のマルワン・イーサ氏が死亡。7月には、ガザ南部ハンユニスで同旅団トップのムハンマド・デイフ氏が殺害された。さらに、シンワル氏の前任者であるハニヤ氏も7月末にイランで、イスラエルの関与が疑われる作戦によって暗殺されている。

イスラエルに殺害されたとされるハマスの幹部たち。左からイスマイル・ハニヤ氏、ムハンマド・デイフ氏、ヤヒヤ・シンワル氏イスラエルに殺害されたとされるハマスの幹部たち。左からイスマイル・ハニヤ氏、ムハンマド・デイフ氏、ヤヒヤ・シンワル氏

シンワル氏は、民間人の犠牲が増加する中でも反イスラエル闘争の継続を訴えてきた強硬派として知られている。イスラエルで収監されていた経験もあり、イスラエル当局はDNA情報を保有しているとみられる。

シンワル氏の死亡確認でハマスはどうなるのか?

シンワル氏の死亡が確認されれば、ハマスにとって大きな痛手となることは間違いない。組織の結束力や戦闘能力の低下は避けられず、イスラエルとの力関係にも変化が生じる可能性がある。

しかし、ハマスの抵抗が弱まるかどうかは依然として不透明だ。イスラエルとハマスの対立は根深く、指導者の交代が即座に和平交渉につながるとは考えにくい。

今後のガザ地区の情勢については、引き続き予断を許さない状況が続くと予想される。