「マイナス20度」で朝食を作ったら“予想外の大ピンチ”に…「南極料理人」が明かす「極限体験」365日


【写真】実は結構臭いペンギン

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閉鎖空間での人間関係

 中川さんは言う。

「過去には、隊員同士で交際して、後に結婚された方もいらっしゃったと聞いているので、隊によっては、付き合っていた人がいたというのは間違いありません。もしかするとトラブルに発展したケースが過去にあったかもしれませんが、よくは存じ上げません。私たちの隊については感知していないのでよくわかりません。少なくともトラブルはありませんでした」

 実際、連日の業務に多忙だろうし、プライベートの確保が難しい。そのため、そもそも深い関係にはなりにくいのかも知れない。万一、女性隊員が妊娠してしまうと大変だ。医務室はあるといっても、医師は2人だけで、行える施術は簡単なもののみ。当然、出産はできない。極地研のサイトによれば、南極に到着し、観測船「しらせ」が日本に帰る前に女性隊員には妊娠検査を行い、陽性ならば、そのまま帰国が命令されることもあるという。

過去には揉め事も

「ベテラン隊員がうまく引っ張っていたし、それを若い隊員たちが素直に聞いて従っていましたから。比較的大人の人が多くて仲良くまとまった隊だったという評判です。経験者の人が締めるところをしっかり締めてくれたというのが大きかった。だから隊としてはうまくいったんですよ」

 過去に揉めたケースもあったのだろうか。調べてみると、過去には、調理担当同士が揉めたこともあったようだ。共有している食材を巡って「勝手に使われた」というのが原因、積み重ねた経験とこだわりがあるがゆえに、もめたのだ。

 中川さんと相方調理人の長谷川雄一隊員、そしてその他の隊員との関係は良好だった。

「うちの隊は相方さんが何度も来ている経験者だったので、上下関係がしっかりありました。“中川君が好きにやったらいいよ”と言って私の意見を尊重してくれつつも、アドバイスもしてくれましたから」

 中川さんはそう振り返るが、彼の誰とでも壁を作らない、協調的な姿勢があっての円満な関係だったのではないだろうか。事実、彼は帰りの「しらせ」で、次のように隊長から声をかけられた。

「“中川くんが大人でよかった”と言われたんです。あのときは嬉しかった」



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