27日に行われた衆院選で自民・公明両党が過半数を割り込み、石破茂首相の政権運営に早くも暗雲が立ち込めています。「政治とカネ」問題への対応が裏目に出て退陣論も浮上する中、石破首相は正念場を迎えています。
不記載問題が敗因?焦点は「政治とカネ」に
石破首相は27日夜のフジテレビ番組で、「外交・安全保障や社会保障、農業政策など個々の論点に議論がいかず、『政治とカネ』に議論が集中した」と語り、派閥パーティー収入不記載問題が敗因との認識を示しました。
就任わずか8日で衆院を解散し、異例の短期決戦に打って出た石破首相。過去最多の9人が立候補した9月の総裁選で話題をさらった後、新政権誕生の「ご祝儀相場」に乗じて不記載問題への注目を薄れさせ、選挙戦を有利に進めようという思惑があったとされています。
自ら火種を撒いた?迷走する不記載問題への対応
しかし、解散直前の今月9日、石破首相は小泉進次郎選対委員長らの主張を受け入れ、旧安倍派などの不記載候補の一部を非公認とする一方、他の不記載候補は小選挙区と比例代表との重複を認めない措置を取りました。この対応は党内外で賛否両論を巻き起こし、「自民の不記載問題への対応の是非」に焦点が移る結果となってしまいました。
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過半数割れの可能性を楽観視?読み違えた世論の反発
21日夜に開かれた党の最高幹部による協議では、情勢悪化を受けて「自公で過半数確保に向け接戦区に注力する」ことを確認したものの、自民が200議席を割り込む事態は想定されていませんでした。産経新聞社が同日に発表した終盤情勢で200議席割れの可能性が示されると、ある幹部は「そこまでは減らないだろう」と楽観的な見方を示していました。
しかし、23日には自民が非公認とした候補が代表を務める政党支部に活動費2千万円を支給した問題が報道され、事態はさらに悪化。立憲民主党は「裏金批判」を強め、自民の劣勢ムードは決定的となりました。
石破首相の責任は?政権運営は行き詰まりか
自公が下野した平成21年以来の過半数割れという結果を受け、石破首相や森山裕幹事長の責任を問う声も上がり始めています。旧安倍派のある議員は、「石破首相は完全に詰むだろう。党内に不満がたまっており、一枚岩にならない」と厳しい見方を示しています。
今回の選挙結果を受け、石破首相は今後、連立政権の拡大を含め、一部野党との連携強化を図り、政権維持を模索する意向とみられます。しかし、「政治とカネ」問題への対応に世論の厳しい目が向けられる中、石破政権は早くも正念場を迎えています。