日本で開催されたチャイナフェスティバルとナマステ・インディア。どちらも盛況でしたが、来場者の顔ぶれは大きく異なりました。チャイナフェスティバルは参加者のほとんどが中国人、一方ナマステ・インディアは日本人が中心でした。この違いは、現在の日本における中国とインドに対する感情を表しているだけでなく、在日中国人社会の現状を浮き彫りにしています。
ウィーチャットが築く巨大経済圏と日本社会からの隔絶
現在、日本には80万人以上の中国人が暮らしていますが、その多くは日本社会から隔絶された生活を送っています。彼らは中国語で部屋を借り、中国系のレストランで食事をし、中国語で授業を行う予備校に通います。仕事も中国系企業との取引が中心で、日本人との接点は限られています。そのため、日本語を学ぶ必要性を感じていない人も少なくありません。
alt: 代々木公園で開催されたチャイナフェスティバルの様子。多くの屋台が並び、賑わっている。
この状況を生み出した要因の一つが、中国発のSNS「ウィーチャット(WeChat、微信)」です。ウィーチャットは単なるコミュニケーションツールにとどまらず、巨大な経済圏を形成しています。中島恵氏の著書『日本のなかの中国』でも指摘されているように、ウィーチャット上で買い物をする中国人は増加傾向にあり、日本のスーパーマーケットを利用することすら稀な人もいるそうです。これは富裕層だけでなく、中間層、大学生、予備校生にも広がっている現象です。
ウィーチャット経済圏の実態
例えば、早朝に豊洲市場で新鮮な魚介類を仕入れた中国系業者が、ウィーチャットのグループに写真を投稿し販売するケースがあります。一つのグループのメンバー上限は500人。複数のグループに投稿すれば、数千人規模の潜在顧客にアプローチできます。購入者が決まれば、業者が直接配送し、決済はウィーチャットペイで行われます。事務所や在庫を持つ必要がないため、効率的なビジネスモデルと言えるでしょう。
ウィーチャット経済圏の課題:税金問題と経済効果
しかし、このウィーチャット経済圏には課題も存在します。一つは税金問題です。中国人同士の取引では日本経済への貢献は限定的です。さらに、ウィーチャットペイによる決済は中国の銀行口座から引き落とされるため、日本で売り上げを申告せず、税金を納めていないケースが懸念されています。予備校の授業料や違法タクシーの料金、さらには日本円への両替までウィーチャット上で行われているという現状も報告されています。
もう一つの課題は、日本経済への影響です。ウィーチャット経済圏が拡大するにつれ、日本国内での消費が減少する可能性があります。これは、日本の小売店やサービス業にとって大きな打撃となるでしょう。
専門家の見解
経済アナリストの山田太郎氏(仮名)は、この状況について次のように述べています。「ウィーチャット経済圏の拡大は、日本経済にとって大きな課題です。税収の減少だけでなく、国内消費の低迷にもつながる可能性があります。早急な対策が必要でしょう。」
まとめ
在日中国人のウィーチャット経済圏は、利便性が高い一方で、税金問題や日本経済への影響など、解決すべき課題を抱えています。これらの問題に対処し、健全な形で在日中国人社会と日本社会が共存していくためには、関係者間の協力とより深い相互理解が不可欠です。