イスラエルと国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の関係が、新たな局面を迎えています。イスラエル外務省は、1967年以来続いてきたUNRWAとの協定を正式に破棄する通告を国連に行ったと発表しました。この決定は、パレスチナ難民への支援活動に大きな影響を与える可能性があり、国際社会の注目を集めています。
UNRWAとの協定破棄の背景
イスラエルは、UNRWAの活動に対して長年批判的な立場をとってきました。特に、2023年10月のイスラエル南部への攻撃への職員の関与疑惑や、ハマス構成員の職員の存在などが問題視されています。イスラエル議会は先月、国内でのUNRWAの活動を禁止する法案を可決しており、今回の協定破棄はその流れを汲むものです。
UNRWA本部(2024年7月撮影)
国際社会の懸念とUNRWAの対応
西側諸国からは、この決定によってガザ地区の深刻な人道状況がさらに悪化することが懸念されています。ガザ地区では、UNRWAが食糧や医療などの支援を提供しており、その活動停止は住民の生活に深刻な打撃を与える可能性があります。
UNRWAのジュリエット・トウマ報道官は、現時点ではガザ地区とヨルダン川西岸地区での支援活動への影響は出ていないとしながらも、今後「時間との戦い」になるとの認識を示しました。また、国連加盟国に対し、イスラエルに法施行の再考を促すよう求めています。
イスラエル側の主張
イスラエルのダノン国連大使は、ハマスがUNRWAに浸透している証拠を提示したにもかかわらず、国連が適切な対応を取らなかったと批判しています。ネタニヤフ首相は、UNRWAがパレスチナ問題を永続化させようとしていると主張し、機関の閉鎖を要求しています。カッツ外相も、ハマス構成員がUNRWAに雇用され、施設がテロ目的で使用されている証拠を国連に提示したにもかかわらず、対応がなかったと述べています。
代替組織による支援の拡大
イスラエル外務省は、UNRWAとの関係を解消する一方で、他の国際組織による支援活動を拡大する方針を示しています。「UNRWAに代わるものを後押しする準備がなされる」と述べ、パレスチナ難民への支援は継続されることを強調しています。
今後の展望
イスラエル議会で可決された法案は、ガザ地区とヨルダン川西岸地区でのUNRWAの活動を直接的に違法とするものではありません。しかし、活動に深刻な影響を与えることは避けられないと見られています。国際社会の動向、UNRWAの対応、そしてイスラエル政府の今後の動きが、パレスチナ難民の未来を大きく左右することになりそうです。
パレスチナ支援の行方
中東和平の実現に向けて、パレスチナ難民への人道支援は不可欠です。国際社会は、この問題に真剣に取り組み、持続可能な解決策を探していく必要があります。今後の展開に、引き続き注目していく必要があるでしょう。
イスラエル外務省
パレスチナ支援の将来は、国際社会の協調と努力にかかっています。