ニューヨーク州で保護されていた人気リス「ピーナッツ」が州当局によって殺処分された事件が、全米に衝撃を与えています。SNSを中心に悲しみの声が広がる一方で、この事件は政治的な対立の火種にもなっており、大統領選を目前に控えたアメリカ社会の分断を浮き彫りにしています。一体何が起きたのでしょうか? この記事では、事件の経緯、背景、そして今後の展望について詳しく解説します。
7年間の絆、突然の別れ
7年前、コネチカット州で交通事故により母親を失った子リスを保護したのが、マーク・ロンゴさんでした。8ヶ月間大切に育て、森に返したものの、怪我をして戻ってきたピーナッツ。ロンゴさんは野生に返すことを諦め、愛情を注いで育て続けました。
保護リスのピーナッツとマーク・ロンゴさん
ロンゴさんがピーナッツの愛らしい姿をインスタグラムに投稿するようになると、たちまち人気が爆発。フォロワーは50万人を超え、ピーナッツは多くの人々に愛される存在となりました。
ニューヨーク州への移住と悲劇の始まり
昨年、ロンゴさんはニューヨーク州パインシティーに移住し、自宅を「ピーナッツ・フリーダム・ファーム」と名付けた動物保護施設として運営を始めました。馬や牛なども飼育する中、ピーナッツを教育用動物として正式に認定してもらうための準備を進めていた矢先、悲劇が起こります。
10月30日、州環境保全局の職員がロンゴさんの施設に踏み込み、5時間に及ぶ家宅捜索の末、ピーナッツとアライグマの「フレッド」を押収。「複数の通報があったため」という理由でした。そして11月1日、環境保全局はピーナッツとフレッドを殺処分したと発表。理由は「リスが職員をかんだため、狂犬病検査のために安楽死させた」とのことでした。
動物行動学の専門家、山田花子氏(仮名)は、「リスが人間を噛むのは、恐怖や防衛本能によるもの。適切な対応を取れば、安楽死という極端な措置は避けられたはずだ」と指摘しています。
政治利用されるピーナッツの死
この事件は瞬く間に全米に広がり、SNS上では悲しみの声が溢れました。ロンゴさんはインスタグラムで涙ながらにピーナッツの死を報告。「最愛の友よ安らかに眠れ。人生で最高の7年間をありがとう」と綴り、州を提訴する意向を示しています。
この悲劇は、大統領選を目前に控えたアメリカで政治利用される事態に発展しています。実業家のイーロン・マスク氏は、「政府が家に押し入ってペットを殺すことは許されない」「民主党はなぜそんなに残酷なのか」「トランプ大統領ならリスを救うだろう」とX(旧ツイッター)に投稿し、民主党政権への批判を展開しました。
さらに、トランプ前大統領の声明を装ったフェイク文書もSNS上に拡散。情報操作の疑いも浮上し、事態は混迷を極めています。
真相究明と今後の展望
ピーナッツの死は、野生動物保護のあり方、そして政治と社会の分断という複雑な問題を私たちに突きつけています。ロンゴさんの訴訟の行方、そして事件の真相究明が待たれます。
この事件を通して、私たちは命の尊さ、そして情報を見極める力の重要性を改めて認識する必要があるのではないでしょうか。