北朝鮮軍1万2000人、ロシア・ウクライナ戦争参戦の真相と金正恩の思惑

北朝鮮がロシア・ウクライナ戦争に電撃参戦。史上初の1万人規模の海外派兵は、国際社会に衝撃を与えました。金正恩総書記の真の狙いは何なのか? そして、この決断は北朝鮮の未来にどのような影響をもたらすのか? 本記事では、北朝鮮軍の実力、派兵の背景、そして今後の展望について、専門家の意見を交えながら詳しく解説します。

北朝鮮軍の特殊部隊「暴風軍団」とは?

最初にロシアへと派遣された3000人は、北朝鮮軍の精鋭特殊部隊「暴風軍団」とされています。朝鮮半島有事の際には韓国への浸透工作を担うとされるこの部隊の実力は、これまで謎に包まれてきました。

1968年の青瓦台襲撃未遂事件当時、米陸軍特殊部隊「グリーンベレー」に所属していた三島瑞穂軍曹(故人)は、北朝鮮軍特殊部隊の兵士が地雷原をものともせず突破してくるというブリーフィングを受けていたといいます。その驚異的な身体能力と、死をも恐れない精神力は、敵にとって大きな脅威となるでしょう。

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元陸上自衛隊中央即応集団司令部幕僚長の二見龍氏(元陸将補)は、「特殊部隊を先に派遣した理由は、ウクライナ軍の戦術を学ぶためでしょう」と分析しています。ウクライナ軍の部隊運用、補給、砲兵運用、ドローン運用などを研究し、今後の戦闘に活かす狙いがあると見られています。

1万2000人の北朝鮮兵、クルスク州に展開

NATOのルッテ事務総長は10月28日、特殊部隊3000人を含む1万2000人の北朝鮮兵が、ロシア西部のクルスク州に展開したことを確認したと発表しました。輸送艦でウラジオストクに移動後、兵科ごとに振り分けられ、空輸でクルスクへと向かったとみられています。

二見氏は、「戦闘準備に約1ヶ月かかるため、本格参戦は12月になるでしょう」と予測。ロシア語やウクライナ語を話せない北朝鮮兵とロシア軍の連携については、クルスク州でロシア軍がウクライナ軍を包囲している地域に、北朝鮮軍だけの区画を作り、自由に戦わせる可能性を指摘しています。

北朝鮮軍の参戦、ウクライナ情勢への影響は?

朝鮮半島とは異なる地形での戦闘となるため、北朝鮮軍は当初苦戦する可能性があります。ウクライナ軍のドローン攻撃やハイマースによる攻撃で、大きな損害が出ることも予想されます。しかし、近接戦闘になれば、命を惜しまず突撃する北朝鮮兵は、ウクライナ軍にとって大きな脅威となるでしょう。

二見氏は、「旅団規模での参戦は、戦況に一定の影響を与えるでしょう。来年春頃には、手ごわい部隊に成長していると考えられます」と述べています。北朝鮮軍の参戦は、ウクライナ情勢をさらに複雑化させる可能性があります。

金正恩の真の狙いとは?

金正恩総書記が、このような大規模な派兵を決断した背景には、どのような思惑があるのでしょうか? ロシアとの軍事協力強化、経済支援の獲得、そして国際社会における存在感のアピールなど、様々な憶測が飛び交っています。今後の北朝鮮の動向に、世界中が注目しています。