日産自動車の2024年9月期中間決算は、厳しい現実を突きつけるものとなりました。売上高は前年同期比1.3%減の5兆9842億円にとどまり、営業利益は前年の3367億円から90.2%減の329億円、純利益も93.5%減の192億円と大幅に落ち込んでいます。
日産自動車の内田誠社長
アメリカ市場と中国市場での苦戦が業績悪化の主因
この大幅な減益の背景には、主力のアメリカ市場での販売不振と、中国市場におけるEV戦略の失敗があるとされています。アメリカ市場では、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の需要が高まっているにもかかわらず、日産はこれらの車種ラインナップが不足していることが苦戦の要因となっています。
中国市場においては、中国メーカーの電気自動車(EV)の急速な台頭により、日産を含む既存メーカーのシェアが縮小していることが指摘されています。これらの分析は、自動車業界の現状を考えると当然のことと言えるでしょう。
現状、日産は「売る車がない」と言われるほど商品力の低下が顕著であり、内田社長自身も顧客ニーズへの対応が遅れていることを認めています。
9000人リストラと生産能力削減へ 経営責任は?
こうした状況を受け、日産は業績の安定化と適正化を図るため、世界で生産能力を20%削減し、9000人をリストラするなどの合理化案を発表しました。さらに、内田社長は経営責任をとって11月から役員報酬の50%を自主返納すると表明しましたが、この対応にはSNSを中心に批判の声が上がっています。
内田社長の2023年度の総報酬は6億5700万円にのぼり、50%カット後でも3億2850万円を受け取ることになります。他の役員も自主返納するとのことですが、1億円以上の報酬を得ている役員は内田氏を含め6人おり、彼らの総報酬は27億5800万円。仮に半額になったとしても、13億7900万円が役員報酬として支払われる計算になります。
2020年に発表された「日産ネクスト」というリストラ案も失敗に終わり、今回の大幅な減益とリストラ発表を受けて、役員含めた総退陣を求める声も上がっています。
SNSで怒りの声噴出 リストラ対象の生活への不安も
SNS上では、9000人ものリストラに対して、経営陣の責任を問う声が多数寄せられています。リストラ対象となる社員の生活への不安や、経営陣の報酬カットだけでは不十分だという意見が多く見られます。
中には、リストラ対象となる9000人の生活への不安を訴える声や、正規雇用・非正規雇用問わず、路頭に迷う人が出ないことを願う切実な声も上がっています。
これらの声からも、日産の現状に対する国民の怒りや不安の高まりが伺えます。今後の日産の動向に注目が集まります。