埼玉県越生町、自然豊かな山々に囲まれた静かな場所に位置する橋戸川。しかし、この穏やかな景観に不協和音をもたらしているのが、40年以上も前から川の上に無断で建てられた建物です。今回は、この違法建築が引き起こす深刻な問題と、住民たちの苦悩に迫ります。
違法建築の実態:埋め立てられた川と狭窄された水路
橋戸川のすぐそばで仕事場を構える男性の案内で、問題の建物を見てきました。白い壁の巨大な建物と、周囲に無造作に積み上げられた建設資材が目につきます。一見すると川の流れは建物前で途切れているように見えますが、実は建物の下に川が流れているというのです。
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男性によると、約40年前、建設業者が無断で川を埋め立て、その上に建物を建設したとのこと。以前は4メートルほどあった川幅は、現在、建物下に設置された直径1.2メートルのコンクリート管2本分しかありません。しかも、そのうち1本は既に塞がれており、実質的に機能しているのは1本だけという衝撃的な状況です。
繰り返される水害:住民の生活を脅かす違法建築
この違法建築が原因で、大雨の度に深刻な冠水被害が発生しています。流れてきた土砂や木材でコンクリート管が詰まり、川の流れがせき止められることが原因です。特に2023年7月の豪雨では、周辺地域が広範囲に渡って冠水し、甚大な被害をもたらしました。
案内してくれた男性の仕事場も被災し、被害総額は3000万円以上とのこと。家財道具はもちろん、飼っていたニワトリも犠牲になったと嘆いていました。
専門家の見解:河川法違反の疑いと行政の対応
河川法に詳しい専門家(仮名:河川太郎氏)は、「このケースは明らかに河川法違反の疑いがある。行政は速やかに是正勧告を行い、必要に応じて強制撤去などの措置を講じるべきだ」と指摘しています。
住民の声:原状回復への切実な願い
周辺住民からは、違法建築の撤去と川の原状回復を求める声が上がっています。長年にわたる不安と恐怖、そして繰り返される水害の脅威から解放されたいという切実な願いです。何より心配なのは人命だと、男性は訴えています。
繰り返される水害の悪夢から解放される日は来るのでしょうか。行政の迅速かつ適切な対応が求められています。