近年、中国の政治状況の変化に伴い、海外移住を選択する中国人が増加傾向にあります。日本は米国と並んで人気の移住先となっており、在日中国人の数は着実に増えています。特に東京では、中国人コミュニティが形成され、政治への関心が高まっているようです。今回は、東京で暮らす中国人たちの現状と、彼らが日本を選んだ理由を探ります。
東京で活発化する中国人たちの集い
東京の都心にあるビルの一室。40人ほどの人々がスリッパに履き替え、静かに集まっています。2024年8月25日、東京大学社会学教授の阿古智子氏が、20年間の中国農村部での研究経験を語っていました。電気のない村、建設計画による強制移転、少数民族や人権活動家との交流など、生々しい体験談に、参加者たちは真剣に耳を傾けています。
東京で講演会に参加する中国人たち
興味深いのは、参加者の多くが最近日本に移住してきた中国人である点です。「このような講演会は、今の中国では絶対に開催できません」と、学生ビザで来日した30代の男性は語ります。「2022年を中国で過ごした経験から、日本の自由な雰囲気に感銘を受けています」と彼は付け加えました。
なぜ日本を選ぶのか?「潤学」と中国の現状
2022年は、多くの中国人にとって忘れられない年となりました。ゼロコロナ政策による厳しい行動制限は、人々の生活を大きく制限しました。さらに、習近平国家主席の3期目続投決定は、中国の政治的将来への不安を増大させました。
その後の経済の減速、深刻な不動産危機、米中対立の激化など、中国を取り巻く状況は厳しさを増しています。こうした状況下で、中国人の間で「潤学」(脱出の哲学)という言葉が流行しました。これは、中国から脱出する方法を模索する動きを表しています。
日本は、地理的な近さ、文化的な親近感、そして比較的安定した社会情勢から、中国人の移住先として人気を集めています。東京では、中国人向けのコミュニティや情報交換の場も充実しており、新たな生活を始める上でのサポート体制も整っています。
経済低迷と米中対立の影
中国経済は、度重なるロックダウンの影響や不動産バブルの崩壊により、深刻な低迷に陥っています。また、米国との対立は貿易摩擦や地政学的な緊張を高め、中国経済の先行きに不透明感をもたらしています。著名な経済学者、李明氏(仮名)は、「中国経済の回復には時間がかかるだろう。海外への投資や移住は、リスクヘッジとして有効な手段になり得る」と指摘しています。
新天地・日本で未来を語る
日本に移住した中国人たちは、新たな生活の中で、政治や社会問題への関心を高めています。東京での集いやイベントは、彼らにとって情報交換や意見表明の貴重な場となっています。
彼らは、母国である中国の未来についても真剣に考えています。民主主義や人権、言論の自由など、中国では制限されている価値観を、日本で学び、実践しようとする動きも出てきています。
日本社会への適応、文化の違い、言語の壁など、 challenges は少なくありません。しかし、彼らは希望を持って未来を語り、新たなコミュニティを築きながら、日本で自分たちの居場所を見つけようとしています。