兵庫県知事選は斎藤元彦氏の再選で幕を閉じましたが、選挙戦中に起きた出来事とその後の余波が、県政に複雑な影を落としています。選挙終盤、22人の市長が斎藤氏への対抗馬を支持するという異例の事態が発生。当選後、斎藤氏は「選挙が終わればワンチーム」と融和を呼びかけましたが、不信感の払拭は容易ではありません。
市長たちの“造反”と斎藤県政への不信
今回の選挙戦で注目を集めたのは、現職市長22人による斎藤氏への対抗馬支持表明でした。市長が特定候補への支持を表明するのは異例であり、公職選挙法に触れる可能性も指摘されました。支持表明の理由について、尼崎市の松本市長は、ネット上で斎藤氏を支持する情報が偏っていることへの危機感を挙げました。
兵庫県知事選の選挙ポスター
しかし、この行動は結果的に“負けた賊軍”というレッテルを貼られることになりました。さらに、選挙後に伊丹市、宝塚市、姫路市の市長が斎藤氏の事務所を訪問したことで、「手のひら返し」「裏切り」といった批判が噴出。X(旧Twitter)上でも怒りの声が多数上がりました。
3市の市長はそれぞれ、当選祝いは慣例である、国会議員や周辺市町への挨拶と同様であるといった説明をしています。しかし、地元紙記者によると、訪問した3市長は事務所前で斎藤氏支持者から罵声を浴びせられ、早々に引き揚げざるを得なかったとのことです。
斎藤県政への不満:行政能力とコミュニケーション不足
市長たちの“造反”の背景には、斎藤県政への根深い不満があるようです。ある現職市長は、斎藤知事の行政能力とコミュニケーション不足を指摘。県からの指示が朝令暮改で、市の事業が頓挫するケースも多かったと語っています。また、「とにかくカネを使うな」という斎藤知事の方針にも、現場の市長からは反発の声が上がっているようです。
兵庫県庁
行政運営に関する専門家であるA氏(仮名)は、「地方自治においては、県と市町村の連携が不可欠。首長同士の信頼関係が損なわれると、円滑な行政運営に支障をきたす可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
今後の兵庫県政:分断の克服と信頼関係の再構築
斎藤知事は、11月26日に予定されている首長との懇談会で連携を確認する方針を示しています。しかし、一度生まれた不信感を払拭し、真の“ワンチーム”として県政運営を進めていくためには、斎藤知事の側からの歩み寄りが必要不可欠と言えるでしょう。兵庫県の未来のためにも、県と市町村が互いに協力し、地域課題の解決に取り組む姿勢が求められています。
県民の声に真摯に耳を傾け、市町村との信頼関係を再構築できるか。斎藤知事の手腕が問われています。