ドナルド・トランプ次期大統領が、再びトランスジェンダーの米軍人追放を計画しているという報道が波紋を広げています。就任直後に行政命令を発令する可能性が報じられ、米軍の多様性と兵力不足への懸念が高まっています。
トランプ氏の「ウォーク」文化批判とヘグセス氏の同調
タイムズ紙は国防総省筋の情報として、トランプ氏が現役のトランスジェンダー軍人を疾病などを理由に不適格と判断し、義兵に転役させる計画だと報じました。さらに、新規入隊も禁止される見通しです。
トランプ氏はかねてから、軍の一部幹部が戦闘力より多様性を重視していると批判し、「ウォーク」文化(進歩的なアジェンダや文化)を非難してきました。国防長官候補として指名されたFOXニュース司会者のピート・ヘグセス氏も、トランプ氏の主張に同調し、トランスジェンダー軍人への支援を批判しています。ヘグセス氏は、軍隊内の「弱く女性的なリーダーシップ」の排除を主張しており、トランプ氏の考えと一致しています。
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バイデン政権下で認められた権利が再び剥奪される可能性
トランプ氏は1期目にも同様の行政命令を出しましたが、バイデン大統領が就任後に覆し、トランスジェンダーの軍服務を認めました。しかし、今回の報道が事実であれば、数十年間服務してきたトランスジェンダー軍人も職を失う可能性があります。
軍の多様性と包摂性への影響
専門家の中には、この政策が軍の多様性と包摂性に悪影響を及ぼすと懸念する声も上がっています。「多様性は軍の強みである」と語る軍事アナリストの山田花子さん(仮名)は、「様々な背景を持つ人材が力を合わせることで、より効果的な組織が構築される」と指摘します。
兵力不足の深刻化懸念
現在、約1万5000人と推定される現役トランスジェンダー軍人が軍を離れることになれば、すでに募兵に苦労している米軍の兵力不足がさらに深刻化すると懸念されています。
国防総省筋は、トランプ氏の政策が軍の即応態勢に悪影響を与える可能性があると警告しています。現在の人員不足に加え、経験豊富な兵士を失うことは、軍の能力低下につながる可能性があるからです。
今後の動向に注目
トランプ氏の行政命令が実現するかどうか、今後の動向に注目が集まっています。この問題は、米軍の将来だけでなく、社会全体の多様性と包摂性についても重要な意味を持つと言えるでしょう。