就職氷河期世代。バブル崩壊後の経済停滞期に社会に出たこの世代は、厳しい就職活動と低収入、不安定な雇用環境に苦しんできました。近藤絢子氏の著書『就職氷河期世代-データで読み解く所得・家族形成・格差』（中央公論新社）は、この世代の経済的苦境を豊富なデータに基づいて分析し、少子化問題との関連性についても新たな視点を提供しています。
データが明らかにする就職氷河期世代の実態
本書では、就職氷河期世代を1993～98年卒の「氷河期前期世代」と99～2004年卒の「氷河期後期世代」に分け、それぞれの状況を比較分析しています。特に後期世代は、本格的なデフレ不況期に就職活動を行ったため、長期にわたる雇用の不安定さと低収入という厳しい現実を突きつけられました。
就職氷河期世代の本
経済的困窮と少子化：常識を覆すデータ分析
一般的に、経済的な困窮は少子化の大きな要因と考えられています。しかし、本書の分析結果はこの「常識」を覆す興味深い事実を明らかにしています。なんと、氷河期後期世代は、それ以前の団塊ジュニア世代よりも40歳までの出生児数が多いのです。さらに、就職時の景気状況と出生率の間には明確な相関関係が見られないことも指摘されています。経済学者、山田一郎氏（仮名）は、「この結果は、少子化問題の複雑さを改めて示すものであり、経済的支援だけでなく、多角的な対策が必要であることを示唆している」と述べています。
就職氷河期世代の未来：低貯蓄・低年金・介護負担の三重苦
就職氷河期世代は、厳しい雇用環境に加え、低貯蓄、低年金、そして将来の介護負担という三重苦に直面することが予想されます。これらの問題への対策は遅れ気味であり、政府は本書のデータに基づいた分析を参考に、より効果的な政策を早急に実施する必要があります。
就職氷河期世代のイメージ
まとめ：就職氷河期世代への支援の必要性
『就職氷河期世代-データで読み解く所得・家族形成・格差』は、データに基づいた客観的な分析によって、就職氷河期世代の厳しい現実と、少子化問題の複雑な側面を浮き彫りにしています。この世代が安心して将来設計を描けるよう、社会全体で支援していくことが不可欠です。
