カンボジアのシェムリアップで開催された対人地雷禁止条約(オタワ条約)の運用会議は、2025年までの地雷全廃という目標達成への道のりが険しいことを改めて浮き彫りにしました。特にウクライナにおけるロシア軍による地雷の使用は国際社会の大きな懸念事項となっており、会議ではこの問題が大きく取り上げられました。
ロシアのウクライナ侵攻が招いた地雷汚染の深刻化
ウクライナでは、ロシアの侵攻開始以降、少なくとも13種類の対人地雷が使用され、1,000人以上の死傷者が出ていると報告されています。地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)の報告書によれば、国土の4分の1が地雷や不発弾で汚染されており、除去作業には数十年を要する可能性があるとのこと。これは、紛争後の復興にとって大きな障害となるだけでなく、長期にわたり市民生活に深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。
ウクライナで発見された地雷
米国の地雷供与と国際社会の反応
こうした状況の中、米国がウクライナへの対人地雷提供を決定したことは、国際社会に波紋を広げています。米国は、提供する地雷は一定期間後に自動的に機能停止するタイプであるため、民間人への脅威にはならないと主張しています。しかし、オタワ条約はあらゆる対人地雷の使用、貯蔵、生産、移譲を禁じており、ICBLをはじめとする国際機関からは批判の声が上がっています。 地雷除去の専門家である佐藤一郎氏(仮名)は、「たとえ自爆機能付きであっても、地雷の使用は長期的な人道危機につながる可能性がある」と指摘し、米国の決定に懸念を示しています。
日本のリーダーシップに期待
来年、オタワ条約締約国会議の議長国を務める日本には、国際社会における地雷問題解決に向けたリーダーシップが求められています。非締約国である米国やロシアを巻き込んだ効果的な対策を講じる必要がある中、日本がどのような役割を果たすのか、世界中から注目が集まっています。
オタワ条約の未来
今回の会議では、ウクライナ情勢に加え、世界各地の地雷問題についても議論されました。紛争地域における地雷除去の進捗状況や、被害者支援の強化策などが話し合われ、国際協力の重要性が改めて確認されました。 食糧安全保障の専門家である田中花子氏(仮名)は、「地雷汚染は農業にも深刻な影響を与え、食糧危機を招く可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
オタワ条約の目標達成に向け、国際社会が一丸となって取り組むことが不可欠です。日本は議長国として、関係国との協調を図りながら、地雷のない世界の実現に向けて尽力していくことが期待されています。